護国寺から杉並公会堂へ

母校、東京音楽大学付属高等学校のOB・OGの演奏会が杉並公会堂で行われた。このひと月、大学に通い授業をし、都響さんとの8公演など日常を熟すも、未だに師の召天の実感がないままに時が過ぎ、本番を迎えた。昔、師に頂いたタキシードを着てアリアを献奏。カルメンで幕を開けた第2回目のコンサート。林美智子さんは何てチャーミングなんだろう。今回お願いして良かったとステージで実感。卒業生の先輩は大勢居られるが、私と直接つながりのある、そしてプリマとして活躍される彼女を、今回呼びたかったのだ。そしてここから拡げていくことが出来るね。オケには元新日のTimp.名手近藤さんや元仙台フィルのTp.持田さんが支えて下さる。コンマスは先輩でもあり一緒に授業をさせていただいたN響の横山さん。そして若かりし頃、大学卒業の年から08年まで講師として護国寺に通い出会った生徒さんたちが、立派になって一堂に会する。初めて会う若い卒業生とも出会えたこと、そのご縁も全ては師:汐澤安彦先生あってのこと。チャイコフスキーは汐澤先生のお振りになる予定であったが、代わりが務まるものではない。本番まで先生の語法、魅せ方、あらゆるところで面影が浮かび、正直居た堪れない日々だった。共にステージで音楽を創って下さった全てのメンバーに心から感謝している。終演後元東京フィルの大先輩が訪ねて下さり、アプローチの意図を的確に見出して下さった。何とも救われた気分。大勢の同級生や先生、後輩も見守って下さったコンサートは、いと高きところから神様と汐澤先生が皆をひとつにしてくださったのだ。ありがとうございます。次は何をしようか?

江戸川区中学校音楽鑑賞教室

昭和58年の開館というのだから、もう既に50年が経過していたのだ。この2日間は生まれ育った地元、江戸川区の総合文化センター大ホールで中学2年生4,800名にオーケストラの生演奏を聴いていただくというもの。葛飾区に引き続き、東京都交響楽団との共演は、1回毎に心のこもった演奏を届けることが出来た。我が母校も2日目に聴きに来てくれた。我が家から校門までは歩いて20秒。この日はチャーターされたバスを見送ってから家を出た。スメタナのヴルタヴァは、何度振っていても実は難しい。名コンマス矢部達也さんと表現について交わす。よいアドヴァイスを得た。チェロのメンバーの方とも昼食で面白い話が出来た。中学2年生、その頃はチャイコフスキーの悲愴、ベートーヴェンの皇帝にハマっていたな。息子が通う頃、聴かせてあげられたら良いな。健康で居なければ。この2日間の生徒さんたち、何か瞬間でも、次につながる心に刻まれるときがあったなら、と願うものだ。出会いに感謝。

葛飾区中学校音楽鑑賞教室 in かつしかシンフォニーヒルズ

東京都交響楽団の皆さんと今年初めての共演。2日間4公演。
シンフォニーヒルズは久々だった。今回は頭に矢部さん。
オケは今日も気持ちの良いサウンドで会場へ音楽を運んでくださった。
昨日も二日目の今日も指揮者体験コーナーは盛り上がる。
個性的な味のあるマエストロたちがブラームスに挑戦するのは楽しい時間だ。
大学の後輩が区内で校長先生をしておられ、再会。卒業以来じゃないかな。
とても誠実な彼は良い先生をして来られたに違いない。嬉しいな。
今回の生徒さんたち、楽しんでもらえたかな。

 

 

 

 

別府の第九

昨秋から2度、1泊2日のリハーサルを経て、本番をご一緒した。

別府市政100周年記念の「第九」演奏会。当日のゲネプロで初めて本番会場の
サウンドを知る。ヨーロッパのテアターを思い起こさせる馬蹄形の素敵な空間。

今回は、ほぼ初顔合わせのオーケストラ。かつて、お隣大分の短大で先生をしていた頃の卒業生や大分ジュニアオケでご一緒したメンバーとの再会も。ポテンシャルの高さに毎回のリハが楽しみだった。そして合唱がまた素晴らしい。ピアニシモの音程がとても良くコントロールされて、この街で良い活動を続けて来られた方々なのだなということがよく分かる。本番は大分縁の素敵な若手ソリストの歌声とともに、市政100年のお祝いに音楽の華を添えることが出来たのではないだろうか。今回の立役者は何と言っても、このご縁を賜ったヴィオラの内田博先生。感謝。

合唱指揮者としてかつて三度ご一緒した「第九」を思い起こし、旅立たれた師も見守っていてくださっていたに違いない。

終演後、艷やかな音色のヴァイオリンパートの皆様とプチ打上げお茶会。またこのオーケストラ、合唱と、ご一緒したいと思いつつ空港バスに乗り込む。

大分空港で柚子胡椒をゲット。よし、鍋だな。この度の出会いに感謝。


 

 

すみだトリフォニーの空間

一昨日、息子の所属する子ども合唱団の演奏会に、OGの妻がエキストラで出演と言うことで、公演を聴きに行く。佐渡裕さん&新日フィル、活躍する後輩が頼もしい。メゾの林美智子さんと久々の再会、素晴らしい歌声。メンデルスゾーンはいいなぁ。3階席で息子と鑑賞。そして誕生日を挟んで、今日は同じホールで自分の指揮する本番。午前中リハをして午後、昭和学院秀英中学校・高等学校の鑑賞会は、都響さんとの今年度最初の共演。かみかみの司会をしながら音楽を伝える。自分が座っていた席の辺りを見上げてみる。登壇時に頂いた拍手の気持ちの良いサウンドが忘れられない。とても良く演奏を聴いてくださることが伝わってきて嬉しいひととき。都響さんは今日も誠実な音楽で応えてくださった。クラシック好きが一人でも増えたら嬉しいな。今日の出会いに感謝。

またひとつ

東京も仙台もすっかり葉桜となり、季節の移ろいは余りにも目まぐるしく、春を味わうに至らずに怒涛の新学期を過ごす。今朝はいろいろな方から誕生のお祝いメールが届いた。ありがとうございます。記憶に留めて頂いて何だか恐縮してしまうお年頃だ。今日を迎えられたことにまず感謝を。学生に常日頃伝えていることを、あらためて自らがまず実践していこうと思う今日この頃だ。家族とケーキを頂く今宵に感謝。明日のステージに備えて休もう。

時空を超えて

2日間4公演、東京都交響楽団との音楽鑑賞教室を終えた。子供たちの元気な声が戻ってきた。北区と台東区の小中学生に、親愛なるオケの演奏を届けられることはこの上ない喜びだ。北とぴあは滝野川の子供の合唱団を教えていた頃からの馴染みの空間。上野の文化会館は、客席から見る舞台と音と空間の広がりに感動した小学生の頃を思い出す。その頃はまだ上野の舞台に立つなんて思い描いてもいなかった。指揮台で感じる都響さんの深いサウンド、そこから背後に広がる空間は本当に素敵だなと改めて実感する。矢部さん率いる都響の皆さんに今日も感謝。子供たち、音楽っていいなぁ、って思って帰ってくれていたらうれしいな。都内脱出に少しもたついたが、雪の壁を横目に関越道を北上、無事時刻前に見附のホールへ。年末に3年ぶりの第九をご一緒した合唱団と再会。30年のお付き合いも新たなステージへ。ここから巣立って教壇に立ち、音楽を伝える後進がいることを思えば、やはり継続は大事だ。集う団員の元気を増強させ共有できる空間でありたい。引き続き磐越道から東北道、眠そうな運転をしているトラックを交わしながら総走行620km、無事仙台の別宅へ。室温4度って、壁付いてんのかい!今日の出会いに感謝。

またひとつ。

大学音楽棟にある庭は2年ぶりに少しだけれど花で今年の新入生を迎えた。暮れ押し迫った頃に忘れらえかけていたチューリップの球根を植えておいて良かった。一斉に可愛らしい色とりどりの花をつけた。少しだけゆっくり歩いて見てまた次の授業へ向かう。つかの間の時ながら、一日でも長く咲いていて欲しいと願う。またひとつ歳を重ねた。覚えていて下さった方からLineやメールを頂戴する。どうもありがとうございます。コロナから2年、まだまだ何も変わってはいない。忍耐の時は続くようだ。そしてあれから2ヶ月、非道極まりない現況にやるせない。戦争を止める手はないものか。これ以上望まない死を増やしてどうするのだ。耐え忍ぶ人々と残されて生きる人たちに寄り添いたい。その想いも7月10日の「ドイツレクイエム」に込めることになろうか。

またひとつ。

春の陽気。この1週間はかつての時が動いたような感覚を持った。1年ぶりの鯉のぼりを出して泳がせる。いつもより早いのだけれど、連休もあっという間に来るのだろう。少しでも陽の光と春の風を浴びさせてあげたかった。息子の遠足のために公園へ送る。人数制限のためにひとり別行動散策。そんな散歩はいつ以来だろうか。欲しているのだけれど、何故か足が向かずにいたようだ。緑は心を浄化してくれるものだ。必要なんだな。仙台の勤務地はチューリップが良く咲いた。そこに学ぶ在学生と今年の新入生を花で迎えてあげたかった。昨年の今頃は、次の春は活動の再開を信じていたけれど、なかなか無情なものだ。それでも、まずは意識から次に向けて何かを動き出させなければ。またひとつ歳をかさねた。思いがけず、覚えていて下さった方からメールを頂く。日常に感謝。

見附のピアノフェスティヴァル

観客を迎えてのステージはいつ以来だろうか。タキシードに袖を通す感触、スポットライトの中を歩く感覚、共演者と音を生み出す緊張感、どれも特別ながら日常でもあったはずのそれら全ての感覚が呼び覚まされる。フェイスシールドをつけながら、真剣勝負の時間を共有する。本当はこのホールで、もうすぐ「第九」が行なわれていたであろうことを思うと、無力感に苛まれる。前日は、夜にかつて行き付けだった駅前のお店で美味しい魚を頂いた。これから足を運ぶことも少なくなってしまうのだろうか。毎週月曜日に大事にお付き合いさせて頂いて来た合唱団の練習を終え一人反省会をしていた頃を思い起こす。ライトを消すと真っ暗闇になってしまう関越道を走らせる。今日の小さなピアニストたちには、音楽を一生の友達にして欲しいと願うばかりだ。メンデルスゾーンの3重奏、良かったなぁ。23日

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