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December 2009

大晦日の過ごし方

ここ数年、大晦日にリハや本番もなく今年も家族と家で過ごす。先日長岡で仕入れた蟹たちを解凍。ワインと日本酒をちょっと冷やして、家族4人で食事。スーザンボイルと矢沢永吉を聴き、殆ど知らない新しい歌手を何とは無しに見ながら蟹と格闘する。年越し蕎麦を茹で、わさびをすり、薬味を揃え海老天まで揚げちゃう。何と贅沢な。かつて飼っていた犬の親が住んでいた3軒隣のお寺へ鐘を撞きに行く。ここ数年兄がその申し込みに行きお札を毎年頂いて帰るのが定着しつつある。本来檀家やお寺に関係の近しい人や家族が出入するのだろうが、自然に迎え入れてくれている。欧州の教会のように誰にでも門を開いている雰囲気が感じられないのが日本のお寺だ。深くそして自然に係わり合いを持てる環境が少なく感じるのは東京だからなのではなかろう。小さい頃から特に法事のとき以外に出入りする習慣が殆どなかったのもひとつだが、今宵も混ぜていただき住職の説法を聞き除夜の鐘を撞く。住職や奥様、息子さんと話も出来た。

後厄も明年明ける。誕生日なのか、その年になったときなのか分からないが、いろいろなことがあった年だったが、節目だったのは間違いない。多くの人に支えられて音楽が出来ることへの感謝をもって。2009年終了。(1日11:30)

年の瀬

明け方ホテルで休んでから昼までの記憶がない。単に睡眠を摂っていたといってしまえばそうなのだが、掛けておいた相当数あった筈の目覚ましを止めた記憶がない。目が覚めるチェックアウト時刻以降までの間、鳴りっぱなしだったこともあり得る。恐るべし我が時差ボケ。

チェックアウトをしていつものマッサージで30分揉んでもらう。一年分の凝りは取れなかったが少し楽になった。長岡の駅ビルcocoloで正月のものを求める。定番は氷頭なます。蟹とか海老なんかを発泡スチロールに詰めてもらい、新幹線にえっちら運びこむ。東京は帰省で物凄い人手だ。すり抜ける様に家へ帰る。車に乗ってビールを求め、愛車カムリに満タン飲ませ、今頃年賀はがきを買いに行く。今年も予定通り出遅れ、年始のご挨拶は来年も遅れて失礼してしまう。似たような人が年賀はがきを求めにやってくる。妙な仲間意識。

兄貴が久々に夕食に帰って来た。いろいろ集まった美味しいものを揃って頂く。留守中、また多くの頂き物をしてしまった。感謝をもって、揃って幸せなお正月を迎えることが出来そうだ。

年明けからリハーサル本番と目白押しだ。休んでばかりもいられない。明日も除夜の鐘をつきに行こう。一年を振り返りながら。(31日1:35)

ザ・忘年会

いやはや、一度やってしまうと時差ボケはきつい。

一年の大半を海外で過ごした年だったが、本当に幸せなことに小生を支えて下さり、共に活動させていただける環境があった。多くの人の力を借りて成り立つお仕事、改めて熟考の結果、一度外に飛び出す時期を得られたのは大きな収穫だった。自分の中のものを自身の生み出す音楽にプラスに結び付け現していけるようにと願う。

今がいつなんどきだか訳分からん状況の中、ネットで押さえておいたJRの券をゲットし、買い物を済ませ一路長岡へ。見事な夕日。丁度20年のお付き合いとなる長岡市民合唱団の忘年会。大々的な年間の活動を話し合う総会を経て、宴は、そりゃもりあがるてぇ。俄仕込みながら可能性を秘めた男声合唱や、普段見ることの出来ない一面を露にする寸劇を交えた女声合唱、さらに女装した濃い団員まで飛び出す。殆ど今年は練習に顔を出せなかったのだが、運営が見事。更に小生の忘年会の出席率は完璧だ。亭主元気で留守もいい、一年だったことにさせていただこう。来年はこの合唱団を自ら指揮をする本番が久々にある。気が付くと3次会。音楽談義もあり心の行き交える大切な場所だ。団員諸兄にとっては練習が楽しくて、お互いを自然に尊重し合える仲間と更に練られたハーモニーを求めていかれることを願いつつ。いつか姉妹合唱団を作ってジョイントできたらいいなと夢も膨らむ。(31日1:15)

やってしまった

2度寝。前日はぐっすり休んで、朝7時には起きて朝食を摂ったのだが、そこで我慢ならず、食後のうたた寝とやらをしてしまったのだ。後悔先に立たず。身体を休ませるにはきっと良かったのだと思いつつも、予定が狂う。夕方支度をして電車で池袋へ。家電量販店で新年のカレンダーをもらい、かつての生徒さん達と会食。人生の師の一人でもある大濱當忠先生が他界されて一年。この留守中に古巣、東京滝野川少年少女合唱団の演奏会があったそうだ。まだそんなに昔の話ではないのに、既に師の大切な教えは微塵も残されない別物の合唱団に変貌してしまったようだ。師は深い愛情を持って合唱を通して子供たちに音楽を伝えてきた。そんな生き様に共感して二十歳の頃から10年間、指導者陣に加えていただいたものだ。多大な影響を受けた。相当の功績を残された方ながら名誉欲や金銭欲も全く感じさせないほどに、人生の全てを音楽と子供たちに捧げたような先生。その教えを受けた生徒さんは数知れないが、かつて合唱団から専門の勉強を始めるお手伝いをした生徒さんやOGと共に昔話に花が咲く。テーマはあいさつ。先ずそこから始まることを皆学び取った。

東京の夜空でこんなに星が見えるとは知らなかったほどに澄んだ空。どの星になって先生は我々を見ておられるかな。星の輝く明くる日は寒くなるという。ベルリンで鍛えられたものの木造一軒家は何気に寒い。街行く人の会話に「よいお年を」と聞き、ふと我に返る。何も年越しの準備などしていない。が~ん。(31日0:20)

フルートオーケストラ

昨夜は帰国帰宅して早めに休み、時差ボケに備えた甲斐あってか、一度4時くらいに目が覚めたものの、7時前にはしっかり起きて朝食を作って支度をする。

地下鉄を乗り継いで、泉岳寺のNHK交響楽団練習所へ。来月11日に昭和女子大人見記念講堂で行われるフルートフェスティバルのリハーサルだ。先ず、何度かリハーサルを見学させていただいたN響さんの指揮者室を使わせていただく。尊敬するザヴァリッシュ氏や音楽監督、客演指揮者が使われる部屋で着替えをしたり、打ち合わせ。良い緊張感のある一室。さて今回の公演、東京を中心としたプロ・アマチュア・ジュニアのフルーティスト250名近い大所帯のフェスティバル。初めてお声掛け頂き、ジュニアの部から順にリハーサル。小学生が大きな相当思いと思われるフルートに息を吹き込む姿は頼もしいものがある。アマチュアの部、プロとの合同、そしてプロのアンサンブルとどれも大人数のため、入れ替わりが大変だ。実はバスやコントラバスフルートといったどでかい楽器を生で大量に目にしたのも音をご一緒したのも初めて。奥深いもので、この世界の層の厚さを認識した。各曲をオリジナルからフルートオーケストラのためにアレンジをする先生方がおられ、奏者には第一線で活躍する各オーケストラのプレーヤー、音大の先生方と重鎮揃い。良い演奏会が共に創れますように。楽しみだ。

6時間のリハーサルの後、地下鉄で移動。途中記憶が飛んだのか乗り過ごす。蔵前から大江戸線、住吉から新宿線に乗り換え無事帰還。それって時差ボケ?(30日23:50)

大移動日

クリスマスの日一杯までパリに居て、シャルル・ド・ゴールを発ったのが11時30分。帰国に夜のフライトを使ったのは初めてかも知れない。11時間強の飛行。発ったときは既に日本は26日の朝8時頃、そして夜7時に成田へ到着。今日の日中というものはいったい何処へ?ちょっぴり損をしてしまったような、そうでもないような気分。今回は夜着いて直ぐに休み、時差ぼけ対策をということもあるのだが果たして効果は如何に。東京は8度寒くは感じない。何て綺麗なんだろう。駅も電車もゴミひとつ落ちていない。これから家に戻って風呂を浴びて明日の支度をしよう。ただいま。

パリのクリスマス

天気予報はどこもそんなものなのか、予報が外れて朝から青空。ところどころにわか雨はあれど、お陰で気持ちの良いホリディだ。先ず向かった先は、「展覧会の絵」の中に出てくるテlテュイルリー公園。ホテルから歩いて5分程だ。冬で木々は寂しいが噴水や人々の表情は明るい。家族やカップルで思い思いの公園を楽しむ表情はムソルグスキーの描写とともにイマジネーションを得る。さて地下鉄に乗って、凱旋門近くの昼間の表情を楽しむ。といってもそうか、今日はクリスマス、ロンドンさながら店は概ねどこも休業。元来家族と共に過ごす訳で成る程、日本のように賑やかなお買い物日和というわけではない。凱旋門の真下に立ちその馬鹿でかさに恐らく口をあんぐり。中央の広場から12の違った表情を見せる放射状の道は味わい深い。地下鉄を乗り換え是非行ってみたかったモンマルトルの丘に登って、「聖なる心」の意を持つサクレ・クール寺院を目掛ける。建立されて100年程ながら落ち着きのある素敵な教会だ。訪れてよかった。実質この教会巡りでパリのプチ旅行の行程は終了。ホテルに戻り乗り合いタクシーの時間を待つ。これが吉と出るか凶と出るかはまだ分からないがパリを夜11時台に出るフライトを選んだ。遅くまで空港はデューティーフリーが開いている。クリスマスもまじめに仕事している店員さんの労をねぎらう。強攻ながらパリを満喫できたかな。美術館巡り、史跡巡りはまた改めよう。メリークリスマス。(26日21:25)

コンサートのご案内 見附の第九!

本場のドイツでも余程のことがないとそう多く取り上げることもないベートーヴェンの第九ですが、日本の音楽界では年末といえば「第九」と代名詞になる程に定着しているのは不思議なものです。小生にとっての第九の原点でもある、新潟県見附市の第九は今年、新たな感動を生むステージになることでしょう。

プロのオーケストラを持つ都市では、この不況下でも演奏会を持つことは出来ているのですが、見附市、この人口4万の町の第九は、市民の声から生まれ、水害や震災や幾多の困難にもめげず15年以上にわたって地域に根ざした、大切な宝物です。

今年、東京音楽大学の小生のクラスで共に学んだ阿部未来さんが、彼の仲間たちで構成されるオーケストラを率い、第一線で活躍するソリストを迎えて全身全霊で臨む第九です。

是非お出かけいただきまして、皆様のあたたかいご声援をお願いいたします。

船橋洋介

文化庁「地域文化芸術振興プラン」

第17回 アルカディア音楽祭 ~明るい未来を信じて~

指揮 阿部未来

合唱 アルカディア音楽祭合唱団(合唱指揮:菅野宏昭)

管弦楽 アルカディア音楽祭オーケストラ

会場 見附市文化ホール アルカディア 大ホール

第1日 まちの彩コンサート ~音楽はともだち~

2009年12月26日(土) 開演 14:00

サン・サーンス 動物の謝肉祭 より

プッチーニ 歌劇「ジャンニ・スキッキ」 より ”私のお父さん”

クァラントット 映画「アマルフィ」より ~タイム・トゥ・セイ・グッバイ~

ソプラノ 鈴木愛美  ピアノ 金子陽子 アルカディア音楽祭アンサンブル

第2日 「第9」 演奏会

2009年12月27日(日) 開演 14:00

L.v.ベートーヴェン 「フィデリオ」序曲 op.72b

L.v.ベートーヴェン 交響曲第九番 ニ短調「合唱付」op.125

ソプラノ 吉田和夏 アルト 伊原直子 テノール 井ノ上了吏 バス 菅野宏昭

チケットお問い合わせ:0258-62-1813(大塚様)

この第九の灯火は消してはならないと願っています。

 

雨のパリ

ゆったりと起床。時折青空も覗くが厚い雲と雨が優勢。歩いて3分のところにあるマドレーヌ寺院という美味しそうな名前の厳かな神殿のようなところへ訪れる。ナポレオンが建てさせたという寺院だ。ドームの壁画が美しい。デパートで少しだけ買い物をして再び世界遺産・ノートルダム寺院へ夕方のクリスマスのミサに参列をする。一度体験してみたかったのだが、今回叶った。Jacquin司教のお説教、言葉は正直さっぱり分からずだったが、ミサの進行は馴染みのあるものだ。祭壇から後方の参列者まで語りかけるように歩いて説く有難いものだった。オルガンも聖歌隊もレベルが高い。フランスならではの和声感覚のモダンなオルガン演奏に加え、フォーレやメンデルスゾーンも聖歌隊によって響き渡った。市内で食事、25日になるのを見計らって再びマドレーヌに立ち寄る。オルガニストの独壇場。平安があなたと共に、とでも訳したらよいか、参集した周りの人たちと握手でクリスマスを祝う。雨の中、何か満たされてホテルへ。小さなホテルならではか、毎朝のビュッフェでカフェ・オ・レを運んでくれる黒人の女性が、シャンパンを一杯どうぞと小生を呼び止め振舞ってくれた。スタッフ達に混ざって。パリでのクリスマス、思いがけずいい時間を過ごした。小さい頃からあのオルガンを聴き自然といくつもの讃美歌を口ずさめるようになる、キリスト教が音楽と共にあってその中で発展して来たことを改めて感じる。大いなるものに感謝をもって。(25日2:15)

パリ三昧

気温は丁度0度くらい、ベルリンでの寒波の洗礼を受けたからか全く寒くは感じない。ゆったりとホテルの朝食を摂る。フランスパンが美味しい。というかフランスに来てフランスパンが旨いのは当然ちゃうかぁと思ってはいたが、本当に美味しい。昨年も訪れたのだがシテの教会を訪れる。その前に経路を変えてシャトレで今上演されている演目を確認。ノートルダムへ行き、クリスマスミサの合唱練習を聴く。ガイドブックで見つけたLes Fous de L'ileでランチを頂く。フォアグラと美味のオニオンソテーの前菜に舌鼓、メインのラムには感動。思わずルージュを頂く。その足で実ははじめてのエッフェル塔へ。東京タワーに上ったか記憶が定かでないが、相当大きなものだ。それでも東京のほうが少し高いらしい。展望台は273メートルと東京より50メートル高い。軽度高所恐怖症であることが分かった。新しい東京のタワーになる前に上っておかなければと思う。夜景は見事だった。そこからバスに乗ってコンコルド広場、シャンゼリゼのマーケットへ。ここは昨年も来てまた是非と思ったところだ。屋台街を全て歩きケバブやワッフル、ホットワインで夕食に代えホテルまで。1万5千歩程度カロリーを消費。何処にいても絵のような風景が見つかる街。同名のそんな管弦楽曲があったなぁ。自分の足で歩いて発見をする、五感を研ぎ澄ます体験。時間は自ら生むもの、使い方の質を高めることは求めていきたいと実感。次回は美術館巡りかな。ひと月は必要だろうなぁ。(24日1:00)

おお しゃんぜりぜ~

曇り空のパリ。ホテルは最上階、向かいの建物や街並みに味がある。歩いて数分のところにあるラファイエットとプランタンの2大デパートを見てみる。シーズンならではの賑わいだがどこもお洒落だ。ブランド品に群がる東洋人は余り頂けた光景ではない。出発も間際だったのでパリでの演奏会はチケットの確保が間に合わなかった。昨年の例を信じて、バスティーユに再び出向く。立ち見券は既になく、数十分前から開演間際のダフ屋と再三にわたる交渉。平気で5~10倍の高値を吹っかけて下さる。まぁそれが商売なのを知ってはいるが余りにもアホらしいので、海外公演の日本での代理店相場位までは値引かせる。手を打つタイミングが難しい。今宵もお陰で楽しめた。オペラ座のバレエ、くるみ割り人形。美しい舞台だった。クララと王子の端正な踊りと演出に好感。バレエはいいなぁ。長岡の白鳥をきっかけに興味の幅が一層広がった。流石に人気の公演だけあって熱気充分。良い雰囲気の一夜だった。地下鉄一番線に乗ってシャンゼリゼ大通りへ。見附でアンサンブルを聴いたが思わずここで一致を見た。ネオンに彩られた大通りを歩いてみる。Champs-Elyseesの正しい発音はフランス人の様には出来ないが、お~ぅしぉんぜりぜぇ~なんて口ずさんで見る。あはは。2年前に日本で痛い思いをした生牡蠣に今年もチャレンジ。食後3時間現在問題は見当たらない。ラッキー。明日はどんな発見、出会いがあるだろうか。(23日2:00)

寒波とともに

相当な強行軍で滞在したベルリン。寒波を連れて来て帰るかのごとく10日の間にベルリンの街の色ががらっと様変わりをした。昨夜から降り積もった雪は粉雪のためか嵩はないのだが、踏みしめると硬く氷になりそうだ。洗濯機を回しごみを捨て、掃除をし、再びベルリンを離れる朝となった。フライトは正午過ぎ。電気や戸締りを入念にし、次に同居人Yさんが戻るまで、何事もないようにと祈る。そしてテーゲル空港。何故か長蛇の列。同じゲートから出る予定のアムステルダム行きが出発40分前になっても人の流れが変わらない。明らかに大雪による遅延だ。案の定小生のフライトも前が開かねば準備も出来ない小さな国際空港ゆえほぼ2時間遅れのフライトとなった。その間共に並んでいたアメリカ人と親しく話す。先日のベルリンフィルで歌ったアトランタ響合唱団のメンバーのボーイフレンドだった。興味深い話を聴く。200名近いメンバーはアマチュアだったそうだ。尚のこと感心。気の毒に彼の接続便は既に飛び停泊を余儀なくされる。さてわがフライトはパリへ。そのまま滞在を決めた。市内の交通渋滞は凄まじい。予定を3時間以上遅れてホテルへチェックイン、すぐさまオペラ・バスティーユへ。丁度一年前にロンドンからアントワープ、ブリュッセルからパリへプチ旅行したのを思い出しつつ、その時は水中陸路?ユーロスターでの移動だったためか今回は勝手が違う。先日来寒波で止まっているようだが影響はまだ残っているのだろうか。今日の出しものはアンドレア・シェニエ。初めて生で聴いた。実に素晴らしい。D・オーレン率いるオペラ座は8回公演の7回目、高い完成度。これぞテノール、バリトン、ソプラノというに相応しい歌手達と説得力のある舞台づくり。本編2時間弱のヴェリズモ・オペラはどでかいモダンなオペラ座の舞台で魅せた。小雨のパリ。0度から2度位ながらむしろ温かく感じる。久々にホテルのバスタブで湯に浸る。少し休んでみようか。(22日1:30)

零下のベルリン

日曜の朝。快晴の青空。だが寒い。窓が凍って開かない。空気中の不純な物が皆凍てつき全てが洗われ澄んだように眩しい。突然やってきた一日中零下の寒波はもう既に5日以上だ。それも-10度前後というのは極端だ。美味しく出来た昨夜のグラタンの残りを朝食に摂りながらコーヒーは欠かさない。生ハムに卵焼きも定番だ。今日は掃除をしたり美味しいバウムクーヘンのお菓子屋Rabienに買い物に出たりする。ケーキも美味しい。ここには歯医者はなかった。一番近くのクリスマスマーケットまで歩いて5分。雰囲気を味わう。商品のTシャツが凍っている。家の前の教会へ立ち寄る。皆コートを着たまま、聖書の言葉にも白い息が混じる。この時期はいつも閉まっている商店も書き入れ時とばかりに開いていて、クリスマス用品や日用品を買い求め賑わう。小生は不足した水を買い足す。ベルリンでは何気ない日常のことがひとたび日本を離れてみると音楽と共にある生活の中で、感じるものがある。

夜は本格的に雪になった。麻婆豆腐を作って晩餐。豆板醤は大活躍。無性に食べたくなったZur Bratpfanneのカリーブルストとポテトフライという最強のカロリー集団に加えて自家製ケチャップにマヨネーズ添えの定番を雪の中歩いてゲットする。当然昨日のお題は演奏が寒かったわけではない。むしろ心は温まった。

辺りは静まり返り電気の音が微かに聞こえるほかは何もない。穏やかな夜だ。一日の終わりに感謝。皆様良いクリスマスの一週間を。(21日0:30)

寒すぎ。 ドイツレクイエム

寒さはピークに達する。体感気温-21℃というのは小生にとってはじめての経験。しかし朝から穏やかに晴れている。青空も覗く。冷凍庫に以前残していった食材を合わせて、サーモンとポテトのグラタンを作ってみた。当然ホワイトソースから始める。思わずシャンパンを開けて頂く。部屋はそこそこ温かい筈なのだが、深々と冷える。そりゃ外が-10度を越していれば冷凍庫に包れているようなものだ。

バスに乗ってフィルハーモニーへ。ベルリンフィル=D.Runniclesはハープ協奏曲の現代曲に続いてブラームスの妙品、ドイツ・レクイエムを聴いた。合唱はアトランタ交響楽団の合唱団。150名は有に越していただろうか、プロかどうか良く分からないが大合唱ながら統制の取れた演奏を聴かせる。ドイツ語ならではの長いフレーズ感や決めるのが難しいピアノ部分はいまひとつながら相当準備をしたことが伺える。会場の温かい拍手。小生にとっては17歳の時、初めてプロオーケストラと合唱のメンバーとして参加した作品。25年も前の記憶ながらすぐに暗譜もよみがえった程、思い入れがある。最後の最後Fdurのアコードは昇華されずに終わった。ベルリンフィルにして名演を生むのは難しい作品だ。コンマス席に樫本さんが座り隣にブラウンシュタイン氏。左手に棒を持つ指揮者の4拍子は右手に持つのと単純に線対称なのか、と単純に関心をもった。バリトンのG.Finleyはクリアな響きを持つ美声。必ずいつかやりたい作品のひとつだ。会場を後に外へ出るも雪が舞いそれはそれは厳しい寒さ。かつてポーランドの真冬にコンクールを受けた記憶が蘇る。東ヨーロッパの雰囲気が現れた感が。今宵のぼやき、題名を探すのに凛然、という言葉が見つかった。ベルリンの街やオーケストラに相応しいかも知れない。結局、寒すぎ。に落ち着いたけれど。今回ベルリンでドイツレクイエムを聴けたこと、それだけでも収穫だ。(20日1:10)

極寒のベルリン 魔笛

寒い。昼間、街を歩いてみたが、ドイツ人も寒いらしい。パウダースノーは見事に粉の如く、踏みしめる雪は片栗粉のようだ。着込んでいるので問題ないのだが露出している部分、特に鼻が痛い。窓は全て凍っている、開けるのに力が要る。     

残り物を如何に美味しい料理に仕立てるか、腕の見せ所とか言い聞かせながら格闘をしてみる。街中で相当お金を出せば美味しいものを食べられるが、高が知れている。不思議な昼食を頂く。

郵便局や文具店、銀行に寄り、今宵もドイチュ・オパーへ。お世話になったアルトの野村先生はここで歌っておられたのかと感慨深いものがある。演目は魔笛。以前シュターツオパーで、ルネ・パーペの深いザラストロを聴いたが、こちらのプロダクションはいささか違う路線を行く。若手の良い歌手を散見。ベルリンでも色んなレベルの公演があるものだと新たな発見。むしろ楽しんで聴けた。

滞在中の記録を更新、マイナス14℃、体感温度マイナス21℃だそうな。玄関の大きな木の門が凍っていて力を加えないと開かない。余り元気良く息を吸ったり吐いたりするのは宜しくない状況。我が家はガス暖房で温かい。毎年北海道の人たちはこんな気温の中で生活しているのかと認識を新たにする。寒いよぅ。ぷるぷる。皆様良い週末を。(19日1:55)

酷寒のベルリン メサイア

明け方何故か寒いと感じていたが、ガスが止まっていた。2重の窓も余り意味を成さない。ほぼ一日中マイナス7度前後、体感気温はマイナス14度のベルリン。良くもまぁ、こんな時期を選んで来たものだ。クリスマスカードを求め、銀行に寄って、コンツェルトハウスのあるベルリンで一番美しいといわれるジャンメルダン広場に行って、前回食べた揚げパンとホットワインを頂く。近くのヨーロッパ一の規模を誇るチョコレート専門店ファスベンダー&ラウシュでお土産を少しゲットし、アンペルマンショップでウィンドウショッピング。チョコレート屋の階上は歯医者。江戸川のうちの近所と一緒やん。

RIAS室内合唱団のメサイアを聴いた。古楽アンサンブルも、最近殊に昔はこうやっていたに違いないというアプローチでもなく聴きやすいものだった。東洋英和OBの皆さんと女声3部合唱のメサイアをご一緒したことがあったが、正しくヘンデルの珠玉作品。一つ一つのナンバーが味わい深いものだ。トランペットのソロが見事。チェンバロ・オルガンに日本人が活躍。余計なビブラートの掛からない、かつ深い色を持った美しい合唱だった。またメサイアは指揮したい作品のひとつだ。8時開演、11時終演。外はうっすらと雪景色。明かりの落ちたマルクトも美しい。地下鉄に乗り継ぎ30分で家に戻る。日本に居る時はどうしてもサイクルが自身の音楽会を中心に生活があって、コンサートを聴きに時間を割くことがなかなか難しい。ここでは敢えてコンサートを選んで運び、身体と心に音楽を注入しているようだ。しかし寒いなぁ。(19日1:20)

厳寒のベルリン セビリアの理髪師

天井が高い割りにこちらのガスの暖房は強力で日本に居るほど寒さを感じない。それでも朝は布団から出るタイミングのブレスを失う。鶏の骨からとったスープで朝ごはん。パンも食べるがやはりお米かな。玉ねぎを炒めて卵やきを作る。2日前に買っておいた合挽き肉が気になって、考えた挙句肉団子に挑戦。甘酢あんかけに合う。から揚げも同時に作る。どう足掻いてもB級グルメに違いないことは分かっているんです。客観的に見ることが出来るんです。あなたとも違うんです。旨けりゃいいんです。。。

一日中、気温はマイナスのベルリン。同居人Y氏は生活のパターンが違うためか、今回着いてから初めて久々に会った。お医者さん、とあって頼もしい。この滞在中、ベルリンの住民票とドイツの健康保険を活かして、ここで無償で受けられる新型のワクチン接種をと考え相談。役人用と市民用で質が違ったのか、副作用が多かったのか問題になってるようだ。あのでかいドイツ人向けのワクチン、きっと小生には向かないかな。一度薬に中ったこともあることだし見送ることにしよう。

ドイチュ・オパーでセビリアの理髪師を見る。いきなり受け狙いかと思いきや、そこまで細やかな作りで笑いを取ろうとするなら良しとみた。可愛いロバも登場。それも、歌、音楽は大事に扱われ、歌手たちの水準も高いものだったからだ。アルマヴィーヴァのLawrence Brownleeをはじめ、M.Muraro, J.Kurucova,Dalibor Jenisといった歌い手が盛り立てた。ブッファを心ゆくまで楽しんだ。(19日0:50)

冷え込むベルリン パーヴォ・ヤルヴィ氏との再会

ゆっくり目を覚ます。鶏の骨付き肉を野菜と煮込んで朝ごはんに頂く。最近そんな料理ばかりだ。でも寒い朝には身体にやさしい。殆ど家に居て夕方は屋台風炒めそばを作る。ポイントはオイスターソース。

のんびりバスに乗ってフィルハーモニーへ。今宵はパーヴォ・ヤルヴィ=ドイツカンマーフィル・ブレーメンの演奏会。カンマーザールだったので大ホールをそのままミニチュアにしたよな室内楽やカンマーオーケストラにはうってつけの空間。シューマン特集、マンフレッドに始まり出色はラドー・ルプーのピアノ。彼の独自の世界に聴衆もオーケストラも引き込む力は圧倒的な存在感。前回はRSOで聴いたがより指揮者やオケのソロとの対話の妙味が味わい深い。アンコールのトロイメライなんか、素っ気無いくらいに自身と対話している。聴かせてやろうなんていう細工は一切ない。余計なものを排除した像が浮かび上がる。後半はライン。これも思い出深い曲だ。ヤルヴィの刺激的とも取れる作品の描き方は、3年前の来日の時、合唱指揮でお付き合いしたベートーヴェンとはまた違った色彩を放つ。アプローチの意図が明確なことと、何よりも、オーケストラの自発的な音楽作りが気持ちよい。バックステージへマエストロに挨拶。一緒に横浜で焼き鳥を食べたかな。ヴァイオリンの団員Mさんと再会、彼は伊東の出身だったかな。終演後はお世話になっているJAのY女史とベルリン在住のジャーナリストKさんと会食。興味深いベルリンの音楽事情、アーティスト情報を交わす。今宵の裏番組ではドイツ放響がやっていたり、オペラも3本同時に各劇場で上演と、お金と興味があれば飽きることは決してない街だ。マイナス2度程度だったが今週中盤の予報は相当厳しい寒さとなりそうだ。(18日23:55)

寒いベルリン クリスマスシーズン

朝の冷え込みは一段と厳しい。Schloss Strasseの人気アイス屋さんはクリスマス用のお菓子屋に化けていた。ケーキ屋やパン屋もクリスマスのお菓子やクッキーが所狭しと並んでいる。街中には部屋に飾るツリーも大々的に売っている。もみの木など大きさや木の種類で分けられ広がった枝をネットで絞って積んである。イブに飾り付けを行って新年の6日まで続くようだ。飾りも色鮮やかな星や玉、蝋燭がきれいだ。道行く市民は皆この季節を楽しんでいる。

歩いて10分強、大学の後輩S君のお宅へお邪魔する。日本のお菓子やつまみを持参。美味しい手料理をご馳走になり昔話に花が咲く。研究生の頃初めてフルオケを振った芸術祭の写真などを見てエピソードに盛り上がる。まだ日が変わらぬうちに帰ったが外は息が白い。名物焼きソーセージ屋も疎ら。

行きのフライトで小澤征爾さんが記事になっていた。日本の芸術文化政策のそもそもの方針を問うもので確かに音楽に理解のない人材が必要のないところにいるのも問題だし、音楽活動事業に対する助成の削減や廃止を決めている事業仕分けも何処まで何をわかって進めているのか疑問が残る。ベルリンの音楽事情も財政的に厳しいと聞くが、根本的に支えていくべき大切なものと認識がある。日本の音楽界にとって前向きな新年を迎えたい。(18日10:30)

零下の洗礼

ベルリンの日曜日、今朝はしっかり鐘の音を聞く。それだけで心が洗われるような気持ちになれる。晴天の一日。がしかし気温は低い。どうやら小生がベルリンに入った辺りからこの冬初めての寒さのようだ。ありがとっ。寒いけれど空気が澄んでいて気持ちが良い、とプラス思考を試みる。お土産を持ってFeuerbach str.の宇田川さんへランチを頂きに出かける。ここの天ぷらは日本で食べるより美味しい。思わず熱燗と定食を頂く。腹ごなしにラビーンのバウムクーヘンを求めに歩く。日曜の昼下がり、地元の人がお目当てのケーキを求めにやってくる。ケーキも試しに買ってみた。美味。ドイツとは思えない程、甘さも上品だ。ベルリンの天気をネットで調べると、どれも違ったことを言っている。押し並べて日中マイナス2度程の気温だったが、余り実感がわかない。そもそも防寒しているからだな。一日プラスに転じることはなかった。いよいよこれがベルリンの冬かと気持ちが引き締まる思いだ。日の出は8時10分前後、日の入りは3時50分前後と日中は8時間を切っている。ロンドンで散々日の短さは体験したがやはり日が短いのは寂しいものだ。この気候風土から様々な芸術が生まれた訳だ。頭に振りかけたひゃっこいシャンプーびっくりしつつ、そんなことをふと思った。(18日0:50)

ネーニエ

ベルリンの朝は隣の鐘の音で目が覚める、ことになっているのだが寒くて布団を被って寝ているためか聞こえなかったらしい。それとも時差ボケで熟睡しきっていたかな。冷たい雨の降り頻る日だった。雪にはならないものの今後の天気予想はどうやら零度を下回る日が続きそうだ。昼からフィルハーモニーへ行って次週の演奏会のチケットを求める。その足でソニーセンターのあるポツダマープラッツへ。9月のベルリンマラソンの時、沿道で応援する小生が世界同時中継に映った場所だ。どうでもいいことだが。クリスマスマルクトではニョッキのグーラッシュに再びホットワインで身体を温める。バスに乗り帰りはアジア食材店で豆腐やらもやしなどを求めて帰る。

夜は今回の滞在中初の演奏会、ベルリンフィル=C.ティーレマンの定期3日目、ブラームスの合唱曲3曲とシェーンベルクのペレアスとメリザンドを聴いた。前半のネーニエ<悲歌>、運命の女神の歌、そして運命の歌とブラームスの管弦楽つき合唱曲の傑作が続く。ネーニエは小生が24~5の頃、長岡市民合唱団で指揮をした初期に手掛けた記憶が蘇る。放送合唱団の決して浅くならないピアニシモも素晴らしいが、細やかなニュアンスに寄り添うオーケストラは見事。ドイツ人の歌うブラームス、当たり前ながら説得力がある。後半のシェーンベルクは生での演奏を初めて聴いたのだが非常に面白い。12音に傾倒する前の技を尽くした佳作。時間をとって良かったと思える一夜。ティーレマン嫌いじゃないな。(18日0:30)

クリスマス一色の街並み

お約束通り、小鳥のさえずりで目が覚める、それは日の出の30分ほど前だろうか。一度4時頃に起きたが、何だか寒いぞ。コーヒーを淹れてサンドイッチを作る。寝室から臨む景色は9月のそれと大きく違った。落葉樹はすっかり枝だけになって少し寂しい。でもお向かいの窓にはクリスマスの飾りが施されて愛らしい。市内交通の一日券を求めて早速市内表敬?

この時期ならではの景色。バスから眺める街の様子はクリスマス一色。先ず向かった先はコンツェルトハウスの左右にドイツドーム、フランスドームが美しいジャンダルメン広場。コンサートのチケットを求めに行ったのだがやはりクリスマスマーケットに足を向ける。早速パンにはさんだ焼きソーセージ、この時期のホットワインで身体を温める。チケット売り場でカードのサインと自署の違いを不思議そうに見比べられ、信用してちょうだいとか言いながら求める。そこから昨年11月に合唱団のお仲間と門前まで見学をしたベルリン大聖堂に初めて足を踏み入れる。丁度その夜の演奏会のゲネをやっていた。赴くままにふとドームの高所へ登る。ベルリン市内の夜景が望めるスポットに心を奪われる。アレキサンダー広場の周辺も特設観覧車が出たり、このベルリン、ドイツ国内でも不況に見舞われていながら市民はこの時期を愛しているのが良く伝わってくる。

更に破綻した大手デパート、カールシュタットの系列高級店KaDeBeへ足を運ぶ。クリスマス一色、ショーウインドウのディスプレイに目を奪われながら特に当てもなく雰囲気を味わう。帰って作るのも億劫になって食事。う~ん、君たちやっぱり味覚音痴ねぇ。大戦の傷跡を残すカイザー・ヴィルヘルム教会へベルリンに戻った報告。辺りのマルクトもそれはそれは美しく華やかに賑わう。初日からいささか飛ばし気味かな。予報では寒気が流れ込むようだ。寒いのかなあ。(17日1:20)

時空を超えて

いろいろな夢を見て起床。長い一日の始まり。10月頃からマネジャーのスケジュール表と睨めっこしながら今日に決めた。成田へは地下鉄と京成を乗り継いで1時間強。今回は10年ぶりにエアフランス、昼の便を選んだ。かつて機内放送の音楽がフランスっぽくてお洒落だった記憶があるが、全てにおいて素っ気なかった。飛び立って早くに一度日没を感じたが、ロシアの上空で再び明るくなってヨーロッパに近づくと再び日没。昼夜を追っかけているようだ。シャルル・ド・ゴールは以前より暗いイメージ。良く歩かされた。次の便は2時間足らずなのに一応国際線とあって、食事も出る。16時間のうちに3度の食事、機内食三昧。流石にチーズやお菓子は他と比べて少し美味しかったかな。70日ぶりのテーゲル、雨の出迎え。然程寒くはない。タクシーに乗り込みベルリンの我が家へ。街並みもフラットも極めて自然に出迎えてくれた。もはや構えて特別な所へ出かける感覚ではなくて、それもその筈、3月から出入りしているのだから。「ただいま~」とか言いながら鍵を開ける。自室は思った以上に綺麗に片付けてあった。なんだかほっとした。時は既に夜の9時半、すぐに隣のスーパーへ行ってあくる朝の朝食の牛乳や卵を求める。シャワーを浴びて温かいものを飲む。インターネットを接続し楽譜たちをスーツケースから開放する。暫し日本を離れ再びヨーロッパの空気を吸い込もう。(17日0:30)

カムリとともに

今日は買い物デー。老体のカムリに乗り込みドコモショップへ行って見る。目まぐるしく新しい機種が出てきて1年も経つと何だか時代遅れになっているような気分にさせられる。当分粘ってやろう。一度都心に出てから池袋の部屋に立ち寄りごみを出す。東武と西武にて買い物。親父に頼まれた、海外に送るクリスマスカードを探す。それはそれはバラエティに富んでいて楽しい。池袋もクリスマスのネオンが綺麗だ。そうかぁ、今年も残すところあと3週間。後厄、大殺界の今年、無事に年を越せるといいなぁと、家に戻り、母親の手料理を頂き普通の生活が何よりありがたいと実感する。(13日18:00)

はんこ

東京の12月ってこんなに暖かかったかなぁと、寒いより嬉しいのだけれど心配になる。2つあるメインバンクの銀行印を取替えに近くの支店へ行ってみる。するほど入ってはいないのだけれど。これまではずっと中学の卒業式か何かでもらったプラスティックの三文判を使っていた。印影が出にくくなって新しくしてみた。銀行によって対応もそのシステムも違う。考えてみると印鑑を使う日本の社会ならではの面倒さだ。カードが普及してサインで済ませることが多いし、最近では暗証番号の入力と便利なだけに、でも印鑑を使う煩わしさはちゃんと手続きを踏んでするべき大事なことの表れかな。まぁこれでお金が貯まれば嬉しいのだが、世の中そんな甘かぁない。印鑑の字体は彫る人によって味が違う。美術品だ。2つとないものを持つこと、それを使うこと、印の歴史は5千年というが面白いものだ。

早速注文したCDが届く。早いし確実だ。そういえば荷物を受け取るときはんこを押したな。便利過ぎて困ることはないけれど、何でも欲しいものが欲しい時に手に入る世の中、使い方を誤らないようにしないとと思う。時間と手間を掛けて作ること、そして伝えることと、音楽の世界は便利さや効率とはかけ離れたところにあるなぁと思う。でも、ぱら~っと譜面をめくっただけで暗譜できちゃう脳みそ、欲しいかも。(13日14:20)

インターネット・ショッピング

東京の冬の天気は新潟と正反対のことが多い。穏やかに晴れた。今日は一日部屋で探し物をしたり、楽譜の整理をしたりして過ごす。その間三枝「レクイエム」のフレーズが頭を流れる。どうやらこれもスルメのような作品だったな。噛めば噛むほどに。歌詞の味わいを生かしながら演奏するには相当本番の指揮者と調整を施さないと実現し難い。頭を過る音楽からそんな思いを省みる。

聴いてみたいCDをウェブで注文してみた。実は初めてだ。店頭であれこれ評論しながら求めるのは楽しいが、目ぼしい物を家にいながらにして選び、明くる日には家に届いているというのも現代ならではのお買い物手段。時間が無いときには嬉しい。

探し物は住民票。A6サイズ一枚、それも薄~い紙にカーボン紙で文字を写し出した正直言ってちゃちなもの。ベルリンで苦労してゲットしたものだ。うっかり前回帰国した際にぺろんとどこかに置きっ放しにしてしまったのだ。でも何てことはない、しっかりファイルに収まっていた。家飲みはヱビスに日本酒。最近贅沢ながら良い日本酒は悪酔いしなくなった。というか唯飲み過ぎないだけかなぁ。年末の忘年会の約束が入った。年の瀬も押し迫って毎年呼んでいただく長岡も楽しみだ。(14日13:30)

震災復興レクイエム

3時間きっかり睡眠をとり会場へ。ゲネプロ前に伝えておかなければならないダメだしをぎりぎりまでやる。そんなことしなくても本番は終えられるのは分かっているのだけれど、決して気分や勢いに呑まれてしまうのだけは回避したいという想い。黒子に徹する。

本番を指揮する以上にプレッシャーを感じる。手に汗握るというのはまさしく本番を見守る小生の拳。技術的なことは限界があるにしても、言葉を伴い、日本語で語られる作品である以上、それが生かされていなければ、日本語でやる意味はない。良くここまで漕ぎ着けたものだ。合唱の皆さんに心からの敬意を。そしてここまで引っ張って指導された山本・草川の両指導者に感謝。正直最初は取っ付き難い作品だと思っていたが、歌い込んで味わいが出てきた。いい作品だ。

会場のその殆どが震災を体験した市民だと思うが、いい時間を共有できたと思う。

そして、最後の「天涯」ではボーイソプラノ役のつばささんが泣かせてくれた。この5年の間に失ったものや、個人的な想いとともに、そのピュアな歌声によって全て昇華された。

会場を後にしレセプション。皆さんの笑顔はきっと何か充実した時間を過ごしたという実感だろう。2次会へは行かず、一人になりたくて頂いた花束を手に新幹線に飛び乗る。

家に着いて見上げると星空が物凄く綺麗な夜だった。(14日11:00)

合唱団奮闘

雨の降る長岡。オータニに時間を延長してステイ。今回のプロモーターが駅のホテルを選んだので大移動。チェックインが出来ずに荷物を預ける。午後から群馬交響楽団のリハーサルを経て、いよいよ合唱団とオケ合わせ。初めてのサウンドにも関わらず、よく付いていっている。作曲者、三枝成彰先生と初対面。かつて大学ではお目にかかっていたが仕事の現場では初めて。気さくな方だ。長岡市長にご招待を受け指揮者、作曲者、ソリスト、司会者らと会食。話題は多岐に渡る。さらに三枝先生たちと次の席へ。気が付くと小生が駅前の居酒屋をキープしていた。宿に帰ってシャワーの出が悪くあきらめて、今日の駄目だしチェックを1時間ノートに書き付ける。3時間睡眠。冷たい雨が降り頻る。いよいよ本番か。合唱団はいろいろな団体から個人の参加で、ひとつの合唱団としての体を成すのは難しい中で、これまで良くまとまって難曲に挑み健闘したと思う。この震災と共にあった5年の歳月、一人ひとりの想いが力となっているに違いない。(13日9:45)

リハーサル立会い

少し早起き。荷物を詰め込み高崎へ。長岡の公演、師の指揮する群馬交響楽団のリハーサルに立ち会う。いくつかの目的があったが、主には合唱指揮者として本番の指揮者がどのような音楽作りをしようとするのか、それを受け止めて合唱へ必要なことを伝えるためだ。特に合唱団はスコアをリダクションしたヴォーカルスコアでリハーサルをしてきたので、合唱団にとっては新鮮?未知のサウンドが聴かれることで混乱を来たさないようにしたい。自身は群馬交響楽団さんとはまだご一緒したことがない。歴史のあるオーケストラだけに楽しみだ。後輩が数人参加していた。ほぼ全部のコマをリハーサル、全貌が見えてきた。効率よくリハーサルを進めていかれた。師と久々に会食。今回の公演のマネジャー女史も同席。尊敬するI先生の生前マネジャーをしてこられた人だ。興味深い逸話を聞く。彼らはそのまま東京へ。小生は反対方向の新幹線を待ち、長岡へ。今日は全て自前だ。宿も取っていなかったので慌ててオータニを予約。チェックイン。お湯を張って入浴剤を投入。一日終了。(13日9:30)              

お医者の日

朝からしっかり雨。ケーキ屋の上の歯医者に出向く。詰め物のチェックとクリーニング。虫歯は、未だに残っていた親不知が悪さをしているらしい。早いところ抜いてしまわないといけないが、先ずは歯医者さん探しだ。求情報。予定通り歯医者の下のケーキ屋さんでケーキをゲット。店の奥でパティスィエが作っている。食べたことのないような面白いケーキも並ぶ。ケーキ作り職人もも夢のある職業だなぁ。ケーキなんか買っちゃったくせに、引き続き歩いて25秒の内科へ先日の血液検査の結果を神妙な面持ちで伺いに行く。結果は全てクリア。にんまり。少し常備用の薬を処方してもらい薬局でゲット。まぁ、何とケーキの美味しいこと。晴れ晴れした気分でがりがり手挽きコーヒー・ミルで豆と戯れ、コーヒーとケーキ。う~ん、美味しい、健康の有り難味と共に味わう。体重の目安を注意しよう。体脂肪だとか、骨重量なんかも測れる体重計は愛用品。主治医の言う体重のバロメータを留めておこう。(12日11:05)

再びゲルギエフの宵

日中はずっと家にいたが、ジャパンアーツに連絡を取り、サントリーホールへ。来日中のマリンスキー管=ゲルギエフのツアー公演に再び。オール・ストラヴィンスキープロ。前半は「カルタ遊び」に「ピアノと管弦楽のためのカプリッチョ」というプロ。ピアノのアレクサンドル・トラーゼはなかなか面白い。打鍵が強力で、アンコールのソロではチューニングがめちゃくちゃになっていた。それを見越した選曲が必要かも。今宵のメインは「春の祭典」すっ飛ばして終わっちゃうのではという予想に反してディテールがくっきり浮かび上がる演奏。そういえばそのメロディも聴きたかったというようなところも明瞭。終盤は寧ろ遅いと思うほどに執拗なリズムを塗りたくる。面白い演奏会。アンコールはロシアのクロスオーバー的な作品。スタミナのあるオケとマエストロならではの選曲。マエストロに今日は挨拶をせずに失礼する。かつての指揮の生徒さんA君たちと新橋に出て一杯。地道に活動をしている話に安堵。第九デビューも控えていることだし、影ながら応援したい。(12日10:45)

師走開始

朝、起きると身体が凝り固まっていた。この秋走り続けてきたものが溜まっていたかな。思い立って直ぐ駅前のマッサージへ。とても良く解してくれる。復活をして、とき号に乗り込む。浦佐の辺りから望む山々が新雪を冠り、美しいコントラストを見せる。暦は冬、これからこんなに空の明るい日は少なくなっていくのだろうか。東京から秋葉原に出て楽譜のコピーを取る。ほぼ年内の本番は終わったわけだが、早速新年の演奏会の楽譜が続々と届く。昨年の今頃は、演奏会三昧だったかな。どんよりしたロンドンの町並みながら、活き活きやっていたのを思い出す。その前の年は、師走の如く先生をしながら走り回っていた。今考えてみると、学生を教えるのは好きだったのかも知れない。このままあっという間に1年も終わってしまうのだろうな。せめて大事に時間を使いたい。(10日2:00) 

 

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