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September 2009

長い機上の1日 Ⅱ

7時前に目覚める。大の字になって寝ていた。風邪っぽかったが大丈夫そうかな。気温は昨日ほど寒くも無い。
昨夜はベルリンに置いていくものと日本へ持ち帰るものの区別に少し手間取った。というのも、昨秋以来ずっと一緒のものも多く、研究資料だけでもスーツケース一つ分にはなる。衣類も少し持つ。
変なところで几帳面なのか、書斎の掃除を最後にしてみたり、居間の気になるものを片付け直したり。
誰もいない部屋に声を掛けてみたり。専用に使っている2部屋の戸締りをしてごみを捨て、スーツケース3つを階下へ。2分程最寄の駅までタクシーを拾いに行く。順調。車中ベルリンの空が見事に晴れ渡って見える。

フライトもこれまで順調。ロンドンでは相当厳しい手荷物とボディ検査。空港でギネスを1パイント。
今回のロンドン成田線も非常に対応が良い。尤もビジネスだけの事はあるが、どこも航空会社は大変な状況の中、食事もさることながら対応がまずければ会社に拘るものでもない。
日本の国際版新聞を久々に目にする。新政権の動向に注目したい。
2月の滞在を終え再び日本へ。音楽のみならずやりたいことが沢山出てきた。先ずは、この秋頂いているお仕事を大事につとめこれからの構想を練っていこう。
今度はいつベルリンの部屋に戻れるかな。楽しみにしながら毎日を送ることにしよう。
(1日3:45西シベリア低地上空)

ベルリン 雲の晴れ間

明け方久々に夢を見て目覚めた。寒い。雲が重たい。ニュースでもこれから天候が崩れ始めるという話。日中は雨もちらほら。でも夕方外に出て見ると雲の間からいつもの明るい青空が覗いている。心境かな。
気になるところを掃除したりしてみる。3月から足掛け5ヶ月間生活してきたのだから、何だかいろいろと出てくる。生きていた証でもある。たまに不便で快適なベルリンの生活は、日本での自身のありかたを客観的に示してくれた。
考えてみるとこの1年間、ロンドンやベルリンで相当多くの日本人と出会った。これからお付き合いさせてもらいたい人たちも数多くいるが、結果大きな人生の財産になっていったらと願う。お世話になった方々ありがとうございました。今後ともよろしくお付き合いの程を。
さて充電は出来た。し過ぎて放電気味のところもある。
現実が待っている。第2章。
少し寝てみようか。(0:00)

ベルリンの秋の風

寒い朝。曇っている時間の方が長い1日。時折強めの風が吹く。
朝、6時45分に起床。先週、ガス会社から手紙が届き、その内容はガスメータの取替えをするとのこと。不在の旨と代わりの候補日を伝えると、選んだのが今朝7時から8時の間。この国は配達もそうだが7時から動いている。シャイな気の良いお父さん。手際よくものの2、3分で付け替えた。こちらで覚えた言葉、Schoenen Tag!は良い日を、という感じだろうか、掛けると嬉しそうに帰って行かれた。
昼間ドイツの電電公社みたいなところか、小生の中では悪名高いT-モバイルが契約のアップグレードの勧誘に突然来る。英語を話すお姉さんだったがもう会うこともあるまい。
早起きの反動は目に見えている。誘惑に30分くらい負け、再び活動。冷凍で空輸してくる大手納豆メーカーの納豆を前日に冷蔵庫に下ろし、解凍し頂く。日本の味。
夕方からバウムクーヘンのラビーン、チョコレートのファスベンダー&ラウシュ、信号機のキャラクター・アンペルマンのお店に出かける。特段何を買うわけでもなく、その界隈の雰囲気を味わう。久々に雨がぽつぽつと降ってきた。
家に帰るとビールが飲みたくなって、隣のスーパーへ。色とりどりのりんごやぶどう、秋の果物がそれはそれはにぎやかにアピールしている。まだ何か家にあったなと横目で通り、
ビールはいつものではなく、何十種類と並ぶ中から無作為に選ぶ。ピルスとヴァイツェンの黒、それに酵母だ。思わず目が合ったでかい太い茄子をゲット。作るものは決まっている。マーボ茄子。豆板醤とオイスターソースは常備。がしかし、その茄子はなかなか手強い。火を通すのに一苦労、だが油を使わずに中々良い一品が出来た。それに何故かおでん。ジャガイモ、にんじん、卵を別に煮込んでみる。どうよ、と一人悦に入る。
同居人さんは、オペラにはまっているらしい。羨ましい限りだ。と言いながらも、自身この1年本当に良く演奏会に通った。聴き方見方が健康的になった。さまざまな音楽へのアプローチに立会って、こちらの音楽が何でも全て賞賛されるべきものでもないし、日本で活躍する指揮者も良くやっているんだな、と改めて感じる。(29日0:25)


秋のベルリン Ⅱ

9月最後の日曜日、深い青空、穏やかに晴れた。
ドイツは総選挙の日だったが、この界隈は静か過ぎて平穏そのもの。といっても日本のように街宣車に乗ってその時期だけの異様なまでの騒音を撒き散らすようなことはない。
唯でさえも静かな作りのアパートだけに、食料さえ確保しておけば快適に過せてしまうわけで、寧ろそれが問題だったりもする。
夕方、やはり散歩に出掛ける。近くの小さな公園。子供の遊び場はめいいっぱい元気な雰囲気。日は傾いていたが、木漏れ日が気持ちよい。日曜に開いている超人気のアイス屋さんとソーセージ屋さんはいつものように大きなドイツ人で賑わう。誘惑に勝つ。
扉の開いている向かいの教会に入ってみると日曜の礼拝。10名ほどの信者さん達だったが、ここでもオルガンの響きに暫し時を忘れる。然程大きな教会ではないけれど、立派な鐘にパイプオルガンもあり街にとって大事な場所だと実感する。
どうぞ良い一週間を。
(28日0:15)

ベルリンの週末 Ⅱ

よく晴れた一日。でもやはり秋の空気。丁度ここに入居してから半年が経って、窓から見える中庭の木々の色の移ろいを楽しみつつも、確実に冬に向かう何だか寂しさを一際敏感に感ずるようになる。
土曜日はいつも買い物をするのだが、今日は野菜を買いにUバーン終点駅地下のスーパーへ。トマトとサラダ菜、一人前分の根菜類を袋にそれぞれ袋に入れ量り売り。
街は休日のような土曜日を皆が楽しんでいるその雰囲気が良い。
ベルリンの町、日本語サイトでは毎日何かと凶悪犯罪や事故が起きているが、この地域性なのか、今のところ穏やかに暮らしてきた。週末、総選挙とあって警戒は厳しい。
夜、フィルハーモニーへ、後輩や日本人の数多く乗るオーケストラを聴きに出掛ける。
そのオケの創設とベルリンの音楽界に貢献した女性が亡くなったことが演奏会前に紹介され、黙祷が捧げられた。オーケストラが全員起立すると、満席の聴衆も立って応える。当然のことなのかも知れないが、日本では同様な反応だろうかと、ふと考える。このオーケストラの演奏会はいつでも満席。中国人の指揮でオープニング。各地のオケで弾いていたOBやフリーランスのプレイヤーが多いようだが、オケにこれだけファンが大勢いるというのは素晴らしいことだ。終演後日本人のメンバー達と会食。母校の後輩も3名いて頼もしい。
ベルリンフィルがあり、さらに3つのシンフォニーオーケストラと3つのオペラがどれもドイツの筆頭レベルで存在する。さらに多くの団体が犇めき合ってこの町の音楽を盛り立てている。市民に元気や夢を与える役割は大きい。(28日23:45)

シュターツバレエベルリン ガラ

朝は気温8度、布団が恋しい。春先家の前の街路樹は丸い実が鮮やかな緑色をしていた。何の木だかわからないままだったが、ごろごろ栗の実が落ちている。どんぐりの実もあちらこちらで見かけるようになった。
急に忙しなく手紙やメールが届く。ガスのメーターの取替え日時を電話でやりとり。物分りの良い男性で良かった。
今日の一つ目の目玉は5月に申請した運転免許書き換えの通知。一月で出来上がると言っていたので6月末に電話を入れたとき、今年1月の申請分を今やってるわよ~的な返事。それなら年末には下りるかなと諦め半分に構えていたところへ手紙。やる気になったな。1年以内に取りに来るようにとのことだが朝一に行ってみる。無事ゲット!どうやらEU諸国ではどこでも使えるもののようだ。おまけに何故かトラックもトラクターも運転出来る。ラッキー。日本の免許証もその場で返却されたので良かった。
免許証センターから程近い所にベルリンやドイツの歴史を知る所がいくつかあった。少し足を伸ばしてあず、ユダヤ博物館へ。D.リベスキントが設計した建物自体が面白い造り。ナチスとの歴史やドイツを中心に描いているが、当然国という単位では語ることの出来ない歴史、文化、宗教的な側面が見事に描かれている。偏見が如何に平和の秩序を乱すか、その負の部分だけでなく、ユダヤ人の学術・芸術・技術の傑出した面を窺い知ることが出来た。
更に足を運んでテロのトポグラフィー前の壁を歩く。野外にパネル展示されている、ナチス時代にゲシュタポのあった場所、恐怖政治の様子が当時の写真などで語られている。
更に歩いてフィルハーモニーへ。トロンボーンの沢野氏はじめ、日本人も数多く参加しているオーケストラのリハーサル見学。
一旦家に戻り、晩ご飯の支度をしてシュターツオパーへ。
針山さんも出演のシュターツバレエ・ベルリンのガラステージへ。小生の来場を待っていたかのように劇場前には赤い絨毯が敷かれ、着飾った紳士淑女が開演を待ち侘びる。
それはそれは華やかな、楽しいステージだった。古典バレエのみならず、モダンの奥深さを垣間見た。ウラジミール・マラーホフ率いるベルリンのソリストたちやゲスト、コープが11の演目を繰り広げる。どの作品も唸らせる内容。名手揃いで全ての名を列記できない。作品ごとに音楽にどれだけその演技の表出を噛み合わせているかはよくわかる。音楽を盛り上げてもどこかちぐはぐなものもあれば、むしろ音楽に特段の意味を持たせないようなコンテンポラリーは踊りそのものが魅力的だ。休憩中にはすべての聴衆にシャンパンが振舞われる。ここでも日本人が大勢活躍しているのは嬉しいことだ。
9月も終わりに近づいてきた。どうぞ良い週末を。(26日11:00)

東ベルリン散策

朝晩冷え込む。日中は穏やかに晴れたかな。でもジャンバーを羽織って出かける。
やりたいことと、やるべきことを上手く捌くのが難しい。
Friedrich str.に出てDussmannという音楽関係のお店に出かける。CDなど相当な財庫を有する。
都内のJRみたいなベルリンのSバーンがここ数ヶ月乱れている。ブレーキの問題など膨大な整備不良が見つかったということだが、今日は更に追い討ちを掛けるように渋谷から池袋みたいな区間がほぼ前面ストップ。それに腹を立てているような人を見掛けない、ことに腹立たしい?
こんな日に限って、無法地帯と化した我が頭上の密林の剪定に出かける。Linksというヘアサロンだが、日本人のオーナーは30代、なかなか面白い人物だ。お店をアトリエのように若いアーティストの絵を展示するスペースに開放したり、パフォーマンスに活かしてみたり。
その足で旧東ベルリンの地域、壁跡に近いオーバーバウム橋やその辺りを歩く。かつてポーランドの田舎町を歩いたような建物の作り、駅舎の形など新しいものに塗り替えられていない状態の景色が残っている。
東ドイツDDR時代の小物やら雑貨を扱うお店に立ち寄る。思わず散財。ドイツでホテルの朝食にコーヒーを頼むと小さなポットで出てくるがその当時のポットとティーカップのセットをゲット。旧体制時代のおもちゃや印刷物など、懐かしい感じのレトロな雰囲気がいい。
Ost Bhfに出てインスタントの名刺を作る。
空腹の誘惑に勝ち、家に帰って、久々の麻婆豆腐丼。これは自信ついてきた一品かな。
当時日本人で唯一招待された壁の画家さんが20年ぶりの修復をしているそうだ。
完成はいつごろ見られるだろうか。
風や夜空が秋の気配。(26日2:15)

ばらの騎士

少し涼しい一日、雲も多かったが雨は降らずにもちこたえた。
男の料理だか何だか、毎日の食事を生きている証?としてカメラに収め続けていたのだがこの一月調子が悪く電源も気まぐれ。寿命の筈はないと思うのだが。そんなわけでこの日記にも時折記憶を残してみる。
滞在中に一度見ておきたかったシュターツオパーの「ばらの騎士」に出かける。6時半に開演とあって、聴衆も無理して駆けつけるのか相当疎ら。実のところライブは初めてだ。
物凄くお金を掛けている印象のセットでは無かったが、3幕を通じてウィーンの当時の雰囲気を出すには十分。細やかな役者の心情を描く演出に好感を持つ。照明は無駄の無いものだが、歌手に映る意図ではない影が気になる。大勢要る歌手たちの中でマルシャリン役のAnne Schwanewilmsは微妙な心理を見事に描く。オクタヴィアン役のK.Kammerloherは尻上がりに好演。オックスのAlfredo Muffはシュトラウスの想定よりも相当年齢が上だがベテランの味。ファニナルも良かったが、目を引いたのはゾフィー役のSylvia Schwartz、恐らくまだ相当若いソプラノだがチャーミング。チャンスを掴んだ。声はオクタヴィアン同様細いので分厚いオーケストレーションとのバランスもぎりぎりだったが、今後の活躍は楽しみだ。指揮はフィリップ・ジョーダン、大曲を見事にまとめる。楽しいそして中身のあるオペラだ。レパートリーにしたいものの一つ。
終演は11時15分。家に着いて丁度日が替わった。
(24日11:20)

秋のベルリン

昨夜は、しばらく食べないと心に決めていた家の前の大人気インビスで、カリーブルストとフライドポテトというドイツならではの極めて危険なジャンクフードに手を染めてしまった。手作りのケチャップが素晴らしい。マヨネーズもお手製ながら日本のそれより酸味が少なく脂肪分が猛烈なため、頑なに拒否する。そして部屋でビールと。これが旨いんだな。
この夏に体脂肪とか筋肉量なども測定する体重計を日本から持ち込んでいた。この2ヶ月欠かすことなく付属のチェックシートに増減を書き込む。良く歩くせいか、びっくり反動はこのところ無い。
そして今朝恐る恐る正方形の板に乗ってみるも、昨夜の油断によるリバウンドは辛うじて回避。同居人のY先生曰くドイツ人と遺伝子が違うんじゃないかと。そうだそうだ、彼らの真似をしてはいけないんだ。
こちらに来て、珍しく外に出ない一日となった。居心地が良いのは結構だが、歩くのは必要と散歩は欠かしていなかったが、気がつくと夕方になっていた。
昼を食べ損ね、何故か無性にとんかつが食べたくなり、冷凍しておいた豚のヒレを解凍。キャベツも千切り、卵も生パン粉もある。ゴマも炒って擂る。賞味期限の切れたソースもきっと大丈夫だ。ご飯を炊いて日本人をまたもや、しみじみ実感してしまう。
日本はまだ長い連休と初めて知った。丁度一年前の今頃、何かに駆り立てられるように渡欧の準備を忙しなくしていたのを思い起こす。
窓から入る風は、すっかり秋の風。日没も7時と急に日も短くなったことにふと気付く。
やることをやるのみ。
摂生?(23:43)

ムズィーク・フェスト・ベルリン 最終回

今日も穏やかな秋の一日。「べるりんねっと」で昨日のベルリンマラソンの様子を知る。なるほど4万人を超すランナー、そこに同居人Y氏も見事完走を果たしたそうだ。
冷蔵庫一掃作戦敢行中につき不思議な料理が次々と出来る。ジャスミンライスを炊いてみる。これがなかなか美味しい。合わせるためにひき肉でドライカレーを作る。レシピが増えた。
夜は、たまたまY氏も恩師と行く演奏会に一緒に出かける。会場では小生がかつてお世話になっていたつくばのコミュニティーオーケストラでチェロを弾いておられるNさんと再会。あれから10年が経ったのか。さまざまな思い出が蘇る。
よく通い詰めたムズィークフェスト・ベルリンも最終日。コンツェルトハウスではドイツの音大からオーディションを経て集められたメンバーで構成されるJunge Deutsche Philharmonieの演奏会が取りをつとめる。18から28歳という言うからそれは日本のレベルと比較してみても面白い。
ハイドンの白眉104番の交響曲に始まるステージは特に弦楽器の一人一人のモチベーションは高いものを感じる。中で今何が起きているか良く感じて弾いている。残念ながら若い女性の指揮者は必要なバランスを取ったり管楽器セクションの時差を埋めることも出来ずむしろオケの自発的な歌に好感。2曲目はB.A.Zimmermannのトランペット協奏曲、Marco Blaauwのソロ。休憩を挟んでEnno PoppeはオーケストラのためのMarktと言うオーケストラの委嘱作品。耳につく打楽器は危険な一歩手前だった。3楽章はアンニュイな雰囲気ながら面白い。指揮のSusanna Malkkiは現代ものに合っている。メインはショスタコーヴィッチの交響曲第1番。リズムの厳しさや内面的な葛藤のような強さは殆ど感じられなかったがオケの高い可能性をしっかり感じ取った。日本人は一人かな。韓国人の名が多くみられた。
フェストに通い、この時期まだ本格的にシーズンには入っていないとしてもよく、そのコンセプトを持たせ、著名なオーケストラをここまで集めて来る企画力に感心する。S席にあたるところは平均50ユーロ、東京に呼ぶ外来オケのチケット代を考えればまずまず有難いものかな。お陰でショスタコーヴィッチにより近づくことが出来たし、今、旬と言われている指揮者の傾向もうかがい知ることが出来た。
帰りもY氏にマラソンの興味深い話をいろいろと聞く。42.195キロは歩くだけでもしんどいと思うが、相当の体力精神力が要ると見た。う~ん、歩こう。(22日21:15)

ムズィーク・フェスト・ベルリン BSBSの巻

日曜の朝8時、街中の教会の鐘が一斉に鳴り響き渡る。目覚まし時計は要らない。
リューべックのホテルは朝食が美味しくて困った。食べ過ぎて困った。
チェックアウトをし、荷物を預け向かった先は13世紀に建てられたゴシック建築の聖マリーン教会。10時のミサに参列する。
涙が自然と溢れてきた。ミサの導入から恰も天に導かれるが如く、そのパイプオルガンの音色、空間に冴え渡るサウンドに魅了される。かのバッハが無断で休暇を伸ばしてまでもこのオルガンの虜になったというのは頷ける話だ。
正味1時間のミサは各賛美歌の前奏にオルガニストの即興が加わり頻繁にストップを変えつつ歌を導く。老夫婦や2人の小さな娘さんを連れた若い女性etc.、教会はそこに住む人々を迎え入れその街に息づく。あのオルガンを聴いて育ったら、誰しもきっと自然と音楽を大切に感じる大人になるような気もする。何だか日本の仏教、お寺の敷居が高いことを思い起こす。Pastorに一言挨拶をして教会を後にする。
ホテルに戻り急いで駅へ。快速に乗り込み、目指すはハンブルク。かつての教え子Aさんと再会。彼女の実家は小生の家の近所だ。元気そうで何より。丁度今週末4年暮らしたハンブルクを家族と共に後にするという忙しい合間に会ってくれた。高級住宅街のイタリアンで昼食。前回はシュターツオパーでバレエを、ムズィークハレでオーケストラを聴いて日帰りした記憶が蘇る。今日はバスを乗り継ぎブラームス博物館に立ち寄る。当時のピアノを試奏。歩いて程近いところにある聖ミヒャエル教会はブラームスが洗礼を受けた所だと後で知る。展望台に上って街を一望する。運河には多くの船が係留され、倉庫街やアルスター湖など明るいハンブルクの中心地一帯を眺める。中央駅まで一緒に出てお別れ。案内ありがとう!日本での再会を。
車窓は黄色い太陽、西日が眩しい。残暑の一日だった。濃い小旅行。
そしてさらに、ベルリン中央駅からバスでフィルハーモニーへ。今宵のムズィークフェストは名門バンベルク交響楽団Bamberger Symphonilker-Bayerische Staatsphilharmonieの演奏。日本にもしばしば旅行に来るオケだ。町は長岡とも姉妹都市になっている。
ハイドンの44番「悲しみ」、細やかな表情付けの効いた好演。L.NonoのCanti di vita e d'amore: sul Ponte di Hiroshimaというソプラノとテノールのソロの入る曲。ソプラノのMarisol Montalvo,コントロールの利いた絶対音感と透明な声に難解ながらも表現を見た。高校の音楽史で習った以来実演は初めて聴く作曲家、面白い。

メインはショスタコーヴィッチの交響曲第5番、日本では”革命”などと呼ばれる曲だ。小生にとってはショスタコーヴィッチの唯一複数回指揮をした曲だけに思い入れはあって、指揮者の真っ直ぐ振り下ろせない指揮と音楽造りにはいささか違和感を覚える。オーケストラが高いクオリティーを有しているだけに何か残念。でも盛り上がるんだな、この曲って。日本人の奏者も活躍していて嬉しい。指揮はジョナサン・ノット。
バスに乗って帰宅。朝昼と4食分くらい食べたので今夜は絶食。明日の反動は目に見えている。
旅はやっぱりいいなぁ。少々忙しなかったがしかと地面を踏みしめ、心に焼き付けたものが沢山ある。何れドイツの免許が届いたらアウトバーンをのろのろ走らせてみようか。(22日1:50)

小旅行 リューベックの巻

小旅行 リューベックの巻

この週末ベルリンはマラソン大会。4万人以上が市内を走る。本当は同居人さんも仲間や恩師と走ると聞き、何か賑やかな音の出るもので応援という予定だったのだが、少し前に、一度聴いておきたい作品の演奏会がリューベックの教会で行われるという情報を得、ドイツ鉄道、ホテル、演奏会のチケットを確保する。きっと日本よりもサイトで発券したり確保するのは便利なのかもしれない。
少し早起きをし、冷凍したご飯を蒸し即席おにぎりを作り、いざ出発。ところが家の前の大通りもマラソンコースとあって、バスの運行がない。地下鉄Uバーンと山手線Sバーンに乗り始発のSuedkreuz駅へ。
ハンブルク行きのICはなかなか混んでいる。指定を取っておいて正解だった。2時間弱の車窓、ヨーロッパらしいというのか、いつもどこにでもある森や大地の広がる風景に目を奪われる。予定通り少し遅れて到着し、接続は3分。次のトラックを調べておいて良かった。快速でさらに40分、初めましてリューベック。13世紀頃、ハンザ同盟で栄えた頃に要所として最も栄えたユネスコ世界遺産の町。
駅舎を離れとすぐに町のシンボルホルステン門が現れる。重さに耐えられず歪だが趣がある。重厚な造り。
ホテルは小さいが整っている。街に繰り出し昼食。1535年に建てられた船員組合の家はなるほどバルト海の女王と呼ばれる所以、海産物の要所であることが伺え、魚を美味しくいただく。
街を一望できる教会や、街の名所、マジパン屋などを訪れ、夜は聖ペトリ教会で合唱の演奏会。所謂、町の合唱団だが、音響の良い教会で、新作初演の曲をオーケストラ付でやるというなかなか意欲的なところだ。大健闘していた。指揮者は同世代の女性、健闘を称える。トロンボーンに日本人を見付け話しかける。
古い町並みは夜も大変綺麗だ。徒歩で周れる主要部を歩く。一日8キロ歩けば万歩計も大喜び。(20日8:50)

ムズィーク・フェスト・ベルリン BPOの巻 Ⅲ?

よく晴れた一日、それでも朝の気温は8度まで下がった。
5月ごろに求めたバジルの茎が30cmほどに伸びた。唯一すくすく生きながらえている。
たまに行っていた中国人のマッサージに久々に行ってみる。が、彼がいない。代わりなのか尤もらしい女性が応対、問診みたいなことをし、マッサージをするも、むしろコリが増す。なんじゃらほい。Xiaoさんは何処へ。
今宵は少し早めに出てアンペルマンショップに立ち寄り、フィルハーモニーへ。ベルリンフィルのエデュケーションプログラムがあるということで行ってみると、ホールのロビーにステージが設けられ、楽器を持った子供たちが次々と登場。3つのグループに分かれて、指揮者をつとめる子供やリーダーが合図を送るとともに即興的な演奏を始める。偶然性の作品を生み出すようなものだが、東京やロンドンでマイク・スペンサー氏がプロジェクトするそれとはいささか内容を異にする。今回のは恣意的なアプローチが多くて、結果子供たちの自発性は殆ど見受けられないものだった。
8時開演のベルリンフィル。若手で大活躍の南米ベネズエラ出身のデュダメル。国を挙げての音楽教育と彼の活動を描いたBBCのドキュメントを日本で見たことがある。今シーズンからプログラムにも名を連ねるコンサートマスター樫本大進氏がこの公演からコンマスの席で登場。最初の曲は女流作曲家S.GubaidulinaさんのGlorious Percussionという曲。5名の打楽器奏者Ensemble Glorious Percussionがソロをつとめるがなかなか見応え?聴き応えのある作品。メンバーに桐朋出身のMika Takeharaさんが加わっていて立派な演奏。
後半はショスタコーヴィッチの12番。40分強の作品ながらよくオケを鳴らし堂々たる演奏。2日目だったがなかなかの完成度。
今回はミーハー行為は遠慮したが、気さくな感じだった。樫本さんに声をかける。彼のこれからのオケでの活躍も楽しみなところだ。
星が綺麗に見える夜。どんどん寒くなりそうだな。(20日0:20リューベック)

穏やかな秋の1日

空の青さが目に沁みる。もう夏のようなどこまでも深い青ではないけれど、雲のない大空は気持ちがよい。花粉もほとんど収まったようだ。
こんな日は洗濯機もフル稼働。先週注文をした楽譜が店に届き、取りに出向く。日本からEMSが届く。
さて今日はフェストが始まって、コンサートのチケットを取らなかった貴重な?1日。
やりたいことが沢山有り過ぎて、どないしよ。
積んである萎びた大根とこんにゃくの煮物、牛肉とセロリの炒め物などを気まぐれに作る。
今日は少し時間が作れたと思った矢先、パソコンがダウンした。今回も修復不可能。初期化の運命。しかし2台持って来ていて助かった。
寝室の模様替え。ベッドや棚の位置を思い切り変えてみた。少し広く使えるようになったかな。
ドイツも総選挙の時期だ。街中にもポスターへ看板が目立つ。保守系が優勢とのことだが、この国も失業率は相当高いし、しばしばこのベルリンでもよくないニュースが聞かれる。どんな展開を見せるだろうか。学校はお金はかからない、保険は高いが充実している。消費税は19パーセントと高い。でも高速は元から無料だったり単純な比較にはならないがうまく行っている部分も多いかと思う。日本の新政権に期待しつつ。
(18日1:15)

ムズィーク・フェスト・ベルリン DSOの巻

おおむね秋晴れの一日。日本も天気が穏やかな様子と伝わる。秋刀魚が食べたい。
ひじきを煮る。今日はこんにゃく、にんじん、油揚げ。作る途中で同居人さんとそのお父様が見えた。我が家で料理を作って晩ご飯だそうだ。親子で作る親子丼かぁ、いいなぁ。キッチンを譲り小生は今日もコンサート通い。
ほぼ毎日、万歩計を付けて歩行距離と消費カロリーを確認するのだが、歩けど歩けどなかなか消費していないことに腹も立たない?
今宵は、Deutshes Symphonie-Orchester Berlinの演奏会。地元オケとあってか多少客層がいつもと違うようにも見受けられる。
クセナキスのJonchaiesはボイラーとかタービンとか機関車の内部とかオネゲルのパシフィック231に通ずるような、良く数えていないと落っこちる音楽。
続くマックス・レーガーのToteninselは調性から脱却できなかったようなロマンティックな管弦楽曲。
メインは有名なベルリンの音大の名前にも残されているハンス・アイスラーのドイツ交響曲。Christa Mayerのメゾ、Matthias Goerneのバリトン、Thorsten Grümbel のバスは力演。コーラスは放送合唱団、指揮はIngo Metzmacher。
 インターネットでリアルタイムに日本のテレビを視聴できるサイトで、鳩山新政権のニュースを見る。始まったのだから期待をして見守りたい。(17日11:20)

ムズィーク・フェスト・ベルリン CBSOの巻

今朝は肌寒くて目が覚めた。雲もあったが一日穏やかに晴れた。じりじりするほどの陽射しは来年までお預けかな。
日本と国際通話で仕事の打ち合わせ。電話回線は申し訳ないがもう高くて使えない。スカイプ万歳だ。
ピアニストの中村紘子さんからデビュー50周年のお祝いの会へのご招待を頂いていた。不参のお詫びとお祝いをマネジャーN氏へ電報で託す。海外から送れる電報は旧電電公社は使えないのでインターネットを通じて送れる会社を見つける。来月の共演も楽しみだ。
久々に秋から徐々に再開する日本でのスケジュールを更新してみる。色々な想いが込み上げる。
今宵のフィルハーモニー、イギリスからやってくる最後のオケはバーミンガム市交響楽団だ。指揮者はひと回り若いAndris Nelsons。ブリテンの名作ピーターグライムス「4つの海の間奏曲」「パッサカリア」に始まり続くMark=Anthony TurnageのトランペットとオーケストラのためのFrom the Wreckage はHakan Hardenbergenのソロが実に味のある演奏。アンコールのピアソラも見事だった。
休憩後はクラリネット奏者がサックスに持ち替えショスタコーヴィッチのジャズ組曲第1番を。選曲からか配置に無理がありもっと楽器間のアンサンブルが見たかった。メインは第6番の交響曲。30分の短いながらも聞かせどころの沢山あるいい曲だ。指揮者は若いといったが小生だってまだ若造の部類。しかしオケの温かい眼差しを得て、全身で音楽を表現しようとするそのエネルギーに共感を覚える。
帰りに新潟響元団員のA氏と一杯。彼も音楽を相当愛している人でしばし歓談。日が変わったところで家路に。この滞在で出合った日本人の活躍やこれから更に良いお付合いの発展を願って。
今日はもう何も飲み食いはしない。はい。(16日2:20)

2009年10月~コンサートスケジュール一覧

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日本フィルハーモニー交響楽団 オーケストラ・シリーズ シーズンコンサート 秋

2009年10月9日(金)19時開演
杉並公会堂 大ホール

共演:中村紘子(ピアノ)
曲目:チャイコフスキー:歌劇《エフゲニー・オネーギン》より「ポロネーズ」
   グリーグ:ピアノ協奏曲
   ドヴォルジャーク:交響曲第8番

<お問合せ>杉並区文化協会 電話03-5347-4366(平日9時~17時)

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東京フィルハーモニー交響楽団 長岡夢づくりコンサート<関係者のみ>

2009年10月29日(木)
長岡市立劇場 大ホール

共演:森 麻季(ソプラノ)
曲目:ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」より他

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東京フィルハーモニー交響楽団 長岡特別演奏会 秋の夕べの優しいクラシック

2009年10月30日(金)開演19時
長岡市立劇場 大ホール

共演:森 麻季(ソプラノ)
曲目:ワーグナー:楽劇「ローエングリン」より第3幕への前奏曲
   ヘンデル:王宮の花火の音楽より
   ヘンデル:”オンブラマイフ””私を泣かせてください”
        歌劇「アタランタ」より”私のいとしい森”
   山田耕作:からたちの花
   ムソルグスキー=ラヴェル:展覧会の絵

<お問い合わせ>(財)長岡市芸術文化振興財団事業課 0258-29-7715 

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7th 水井 稔 フルートリサイタル

2009年11月8日(日)開演14時
仙台市青年文化センター コンサートホール

フルート  水井 稔
ハープ   毛利沙織
チェンバロ 上園未佳
管弦楽   仙台フィルハーモニー管弦楽団によるチェンバーオーケストラ
曲目:   W.Aモーツァルト:フルートとハープのための協奏曲ハ長調KV.299
      J.Sバッハ:管弦楽組曲 第2番 ロ短調 BWV1067
      尾高尚忠:フルート小協奏曲 Op.30

<お問い合わせ> 仙台ミュージックプラザ 022-224-1967

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日本フィルハーモニー交響楽団 演奏会 (関係者)

2009年11月17日(火)18日(水)19日(木)
佐野市文化会館 大ホール

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中越地震復興記念公演「白鳥の湖・全幕」

2009年11月22日(日) 開演16時
長岡市立劇場 大ホール

演出・振付:中村しんじ
出演 :K-ダンスアカデミー
ゲスト:菅野英男・尾本安代・吉田隆俊・松岡宏・長瀬伸也 他
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団(白鳥の湖のみ)
曲目:ストラヴィンスキー:春の祭典(演奏テープによる)
   チャイコフスキー:白鳥の湖(オーケストラによる)

<お問い合わせ>JFBスタジオかむろ真鶴 0258-33-5013

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「レクイエム~曾野綾子のリブレットによる」演奏会 ━心からの鎮魂歌━
(合唱アドヴァイザー)

2009年12月6日(日)開演14時
長岡市立劇場

出演:三枝成彰(総合プロデューサー)
   中丸三千繪(ソプラノ)
   樋口達哉(テノール)
   小倉 淳(司会)
   長岡フェニックス合唱団(合唱・市民公募による合唱団)
   広上淳一(指揮)
   群馬交響楽団(管弦楽)
曲目:三枝成彰「レクイエム」~曾野綾子のリブレットによる
       カンタータ「天涯。」より第8番  

<お問い合わせ>(財)長岡市芸術文化振興財団事業課 0258-29-7715

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2010年1月9日(土)神戸

2010年1月11日(月・祝)池袋

2010年1月16日(土)池袋

2010年2月 広島

2010年2月28日(日)長岡

2010年3月6日(土)上野

2010年3月 広島

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ムズィーク・フェスト・ベルリン LSOの巻

寒めの一日。20度には満たず、晴れ間も少なかった。
実家から送られてきた、8月に地元で受診した健康診断の結果について、少し気になっていたところを同居人のお医者さんに相談してみる。丁寧に説明頂きちょっと安心。要は運動するか、カロリーを抑えるかと言うことだ。確かに昨年の夏の結果は少し悪く、考えて見ると腰を痛めてから積極的な運動は控えていたこと、よく食べていたことを思い出す。「走るのいいですよ~」と今週末ベルリンのマラソンに挑む彼はさら~っと言ってくれたが、ふむ、考えねば、先ずは歩くことを。
早速、部屋のレイアウトを変えて必要になった延長コードやらを求めにいつもと違うルートでIKEAへ。乗り継ぎバスの時刻は歩きなさいと言わんばかりに接続も無く、2キロ歩く。落ち葉が目立ってきた、そんなベルリンの街の風景の発見も健康的かな。
夜はロンドン交響楽団=V.ゲルギエフ氏の登場。プログラムのせいか空席が目立つ。当然ベルリンのことだから自分たちのオケが一番と思っている市民の思いもあるのだろうか。スタッフとして働いている大学の後輩はロンドンにお留守番で会うことが出来なかったがロンドンでよく演奏を聴いたメンバーが懐かしい。
今宵取り上げられたプロは前半ショスタコーヴィッチの弟子にあたるBoris Tistschenkoのチェロコンチェルト。ソロのTim HughはLSOの首席ソロ奏者でもある。9度なのか増8度なのか多用された重音の緊張感ある作品と演奏。
ロンドン響はやはり相当レベルの高いオーケストラだ後半のショスタコーヴィッチ11番「1905年」では切れ目無く続く1時間の標題音楽は相当高い集中力で推移した。日露戦争終結にあたるこの年の事件にまつわる題材は相当殺伐としたもので、強烈に訴えてくる。なるほどホルン以外の金管を下手へ持って行き、弦、木管、打楽器群のそれぞれの味がクリアに浮かび上がる。全てをメリットと取れるかは別として音楽の構造が良く見て取れる。名演だった。
アンコールは三つのオレンジの恋から行進曲。
本日のミーハータイム?は既に日本で紹介していただいていたので、そもそもサインは興味無く挨拶を、あっ、でも写真は一緒に撮らせていただく。ご機嫌だった。
フィルハーモニーのキャンティーンでピルスナーウルケルを一杯頂いて帰宅。
寝酒がよろしくないのね。(15日12:45)

ムズィーク・フェスト・ベルリン POの巻

朝から一日中寒い日曜日。最高気温は14度、下は11度といよいよ秋を感じる。でもどこかでまた直ぐに暖かい日が来るのを期待している自分がいる。
メッセも終わったことだしお店も一段落では?とFeuerbachstr.の宇田川さんにランチを食べに家から丁度10分歩く。良い散歩コースになるが大抵たらふく食べて帰るのでカロリー消費には余りつながらない。今日も天麩羅定食。にんまり。今日はこの後もう食べてはいけないと言い聞かせる。
今宵はVladimir Ashkenazyの指揮、Philharmonia Orchestraの演奏会。今回はロンドンから立て続けにオケがやってくる。作品はまずアルバン・ベルクの叙情組曲弦楽合奏版、A.Zemlinskyの交響的歌曲。アシュケナージの指揮を見たのは2度目だろうか。身体全身で音楽をしている。交響的歌曲のバリトンはDietrich Henschel、見た目も細いが端正な歌。よい曲だった。今夜は少し空席が目立つ。夕方ベルリンフィルの2日目があったからだろうか。
後半はショスタコーヴィッチ8番の交響曲。戦争。。。。特に金管のサウンドは20年前の亡きシノーポリと母校の合唱共演でのマーラーを思い出す。当時のメンバーはどれだけ残っているのだろうか、若いメンバーも多い。日本人のヴァイオリニストも活躍。
緊張感のある良い演奏だった。会場で会ったかつて新潟響を指揮していた頃の団員さんと楽屋に行く。アシュケナージ氏からサイン。今宵もまたミーハー。
家に着いたのは12時近かっただろうか。味をつけない野菜スープを摂り一日終了。
良い一週間を。(14日14:05)

ムズィーク・フェスト・ベルリン BPOの巻 Ⅱ

秋の穏やかな土曜日。今朝も同居人さんに頂いた朝ごはんでエネルギーに。
昼間、街を歩いてみる。土曜は休日。市民の表情がリラックスしてまだ充分に温かいこの季節を味わっているかのようだ。オリーブの実の量り売りでお気に入りをゲット。日曜が界隈は全てお休みなため、何か求めておかないとと、つい買い物。
バス通りの角に新しいビルが改装されて、何が出来るのかと道行く人は興味津々、でも恐らく大したものではない。何せ最寄のSchloss str.駅の上には沢野夫妻が地球防衛軍と名付ける商業施設、それも地上から巨大なアドヴァルーンを揚げたような形をした奇妙奇天烈な物体が廃墟と化し、オブジェ化したものをいつも横目で見ながら街の様子を見ているものだから。たまに正直ドイツ人のセンスを問いたくなることがある。

ドイツのオーケストラのセンスが発揮された一夜。今日のフェストは市民の誇りベルリンフィルハーモニー管弦楽団=サイモン・ラトルの登場。
アルバン・ベルクの「交響的組曲<ルル>よりアダージオ。ゲシュヴィッ伯爵令嬢役のAngela Denokeのソプラノ、見事な悲鳴。
ドイツの作曲家ポール・デッサウのソプラノとピアノとオーケストラのための「Les Voix」、Lars Vogtのピアノ、前述のソプラノによる。何れも12音技法の作品ながらそのディテールがクリアに描き出される。
休憩後はショウタコーヴィッチの4番の交響曲。圧巻。3楽章の体をなす1時間の作品。溢れんばかりの楽想、オーケストラの技術的に相当難しいパッセージも見事に現す。ファゴット、コーラングレのソロが実に美しい。30歳のショスタコーヴィッチが何も気にせず書きたいものを書いたというようなエネルギーの塊。2日公演の初日、名演だった。
今日はあちこちで市が開かれバスも迂回。お陰で行きは中央駅まで知らぬ間につれて行かれてしまった。まだまだ続くコンサート。ふぅ。
このフェストの期間、家に着くと既に12時近いことが多い。今夜はオリーブとワインで終了。(13日10:20)

ムズィーク・フェスト・ベルリン CSOの巻

雲が高いところに流れる青空の一日。穏やかな日が暫く続いている。
最盛期は過ぎたが、例の黄金きのこ(あんずたけ)をまた買ってくる。虫も沢山付いてきた。まぁ農薬に侵されていたり不味いわけではない証拠だ。ストック野菜のじゃがいもにんじんたまねぎきゃべつなどを求める。週末はカレーかな。
同居人Yさんのお父様が来訪。小生の前の住人はよっぽどパーティが好きだったのか食器の数は相当あって残してくれたもので何も自由はしないのだが、客人用のティーセットなどが全く無かったことに気付く。
さて今宵はひとつ楽しみにしていたシカゴ交響楽団の演奏会。指揮は巨匠ベルナルド・ハイティング氏。このオケには高校大学の後輩にあたる旧姓佐々木梢さんがファースト・ヴァイオリン奏者として活躍している。もうしばらく会っていないのでコンタクトをとる術も持っていなかったのだが、ラビーンのバウムクーヘンを持って会場へ。ベルリンのオケの関係者もちらほら。10分前にホールに入ると、既に舞台上に楽団員がウォーミングアップをしていて彼女と真っ先に目が合った。良かった~、覚えていてくれて。舞台最前列から会話を交わす。元気そうで何よりだ。
いよいよ演奏会、今年80歳を迎えたマエストロは腰の大手術をした後だそうで少し心配だったのだが、指揮台に立つとそれは全く感じさせない。曲はモーツァルトの交響曲第41番。スタイリッシュ。楽譜に書かれた通りの音楽が奏でられる。奇を衒うような小細工など一切無い。ぶれがない。極めて明快な指揮。楽章間で音楽を始めようとした際に咳払いをした方に向かって振り向き睨んだ。前から5列目のほぼど真中でその技に食い入る。名門オケの高い精度に脱帽。ドイツのサウンドとまるで違う新鮮さを感じる。休憩を挟みショスタコーヴィッチの第15番。これも作曲家最後の交響曲。正直実演を聞くのは初めてだったのが、実に奥深い。ロッシーニにワーグナー、グリンカ、ハイドンと様々な作曲家の作品の断片が自身の語法の中に刻み込まれていて、その上で絶対音楽とは何たるや、を説かれる気がする。金字塔を打ち立てた2人の作曲家の妙、晩年の作品をさらっと並べてみせる、この指揮者とオーケストならではだ。

終演後、揺り動かされるものがあってマエストロの楽屋へ。丁度針山さんともお会いし、一緒にサインと写真を頂きに。今宵もミーハー。舞台で見せる表情とは一味違い穏やかな80歳だった。そういえば明日は親父の81の誕生日か。指揮者の80歳は先日のクルト・マズア氏同様、物凄い冴え渡る目と耳。マエストロ然り腰とか首など職業病と闘うのか、身体が資本だ。

そのまま、フィルハーモニーのシカゴ響ウエルカムパーティーに全く関係のない部外者ながら流れに身を任せて飲み物や軽食を頂き、楽員さんとも歓談。アメリカ人はフランクだな。後輩とは擦れ違ってしまったが、お仲間に土産を託し宿泊先のホテルに電話し、しばし歓談。良い話が聞けた。
しかしこのフェスト、立て続けにメジャーオケを招聘する企画は大したものだ。まだまだ続く。
1週間があっという間だ。どうぞ良い週末をと、つい先日記した気が。
いつもご来訪の皆様、どうぞ良い週末を。(12日2:25)

ムズィーク・フェスト・ベルリン KBの巻

今日も穏やかな陽射し。日中は半袖を着て出かける。とはいえせいぜい22~3度だ。
ベルリン中央駅へ電車の切符と、フィルハーモニーへ演奏会の切符を求めに出かける。
今宵もコンツェルトハウスに出向き、その名の通りKonzerthausorchester Berlinの演奏を聴く。
前半はオーケストラは出演せず、ラトビアの合唱団Lettischer Rundfunkcohrの演奏。これが素晴らしかった。ヤナーチェクの「Otcenas」 と、プーランクの「人間の顔」だ。総勢25名の歌声は鳥肌もの。それぞれ内容の濃い作品だが、よく練られたピュアなサウンドは心地良く訴えるものがあった。プーランクの最後は圧巻。hi-eもしっかり決める。

休憩を挟んで後半はオーケストラの登場、Lothar Zagrosekの指揮でヤナーチェクの「死者の館」から管弦楽組曲、さらに、もうひとつ別の合唱団ラトビア共和国国立合唱団「Latvija」がオーケストラに加わってクセナキスのNakuiaを。独特の語法を持つヤナーチェクの音楽が炸裂。クセナキスは50名規模の合唱、殆どヴォカリーズで極めて音の取りにくい音塊を見事にさばく。何れの合唱団も音程の精度の高さが抜群だ。楽器の名手の集まるオーケストラはその表現力の豊かさで作曲家のパレットとして勝るものはないが、やはり人の「声」の持つ「楽器」としての表現力もまた物凄い可能性を秘めている。どれも訴える力のある作品ばかりに出会った。先日のRSB然り今回も全て歌を交えた構成だ。

やはり本質的に歌が好きなのを実感した、それを再認識する時空間だった。今宵のどの作品の背景にも厳しい時代を生きた作曲家の姿がある。指揮者には今は亡き山田一雄先生を彷彿とさせるものがあった。オーケストラも良く応えていた。今日は日下さんは弾いていなかったな。ちょっと残念。ライトアップされた広場を後にする。
嗚呼1週間があっという間に過ぎていく。(11日1:05)

ムズィーク・フェスト・ベルリン SWRの巻

穏やかな早秋の一日。朝食は美味しいアジの干物のお裾分け、早速焼いていただく。窓から日本の食卓のかおりを中庭に放つ。
さて今晩は、場所を変えコンツェルトハウスへ。前の広場ジャンダルメンマルクトはいつ行っても美しい。左右にあるドイツドームとフランスドームのバランスが良いからだろうか。
今宵の演奏はSWR Sinfonieorchester Baden-Baden und Freiburgと長ったらしい名前を持つオーケストラ。それこそドイツ南西部のライン川をはさんでフランスとの国境に位置する町からやって来た。ベルリンにいる間に色々なオーケストラを聴いてみたかったので格好の機会。さて、内容はモーツァルトのグランパルティータ、13管楽器のためのセレナーデと称する木管とホルンのための大作。楽譜にあるコントラバスはコントラファゴットでの演奏。各楽器間の音色の空け愛が実に見事、配置もよく考えられている。指揮者はHans Zender氏。作曲家でもある彼の実力は後半で発揮されたと言っても良いだろうか。Helmut Lachenmannの弦楽カルテットとオーケストラのための音楽、5つの大区分、全17曲からなる。およそ30年前に書かれたその中身はワルツだのマーチだの、ギャロップだのとそれぞれ副題が付いているが、きゅっ、ぶお~ん、がひがひがひ、むぉ~、と聴音の問題なら擬音で答えるような、どれがどの部分だかよくわからない現代作品。オーケストラは10型のフル編成、日本人のヴィオラ奏者も弾いてらっしゃる。この作曲家、特殊奏法のデパートと称されているそうだ。なるほど、弓で弦じゃない所を弾いて見たり、息の音だけの管楽器と、やりたいことは全てやりつくしている感じも。途中で退席する聴衆も散見。ただ、指揮者とオーケストラも真剣そのもの、その姿勢にある種の感動を覚える。終演後登壇した作曲家には待ってましたとばかりのブーイングも。前半のモーツァルトが素晴らしかっただけに、折角のフル編成で現代ものではないものもひとつ聴いてみたかったのは正直な感想。今宵も良き協力者を得て作曲家が喝采を得たシーンに立ち会った。
界隈は夜が実に美しい。ここはヨーロッパだったと当たり前なのにふと自身の立つ所を意識する。(10日0:55)

ムズィーク・フェスト・ベルリン BPOの巻

寒さで目を覚ます。夜間冷えるのだろう、コンクリート作りの家だけに冷え始めると冷凍庫状態になるのだろうか。徐々に気温も上がり、黄色い太陽が懸命に夏の名残を照らす。秋よりもむしろこの夏の終わりが非常に寂しく感じる。昨夜の本番を終え、次の旅公演に備えたリハが午後からあった。ブルックナーの5番のリハに顔を出す。シフトがあるので入れ替えはあるが、昨晩演奏していた相当数の団員さんが登板。じっくり聴いたことのなかった作品だが、特に2楽章が美しい。
注文していた楽譜を取りにCantusへ。再び別のものをオーダーする。
一度家に帰るつもりだったが時間切れで食事を取ってそのままフィルハーモニーへ。
ベルリンフィルハーモニー管弦楽団=サイモン・ラトルはハイドン、オラトリオの傑作「四季」を。母校でも手がけた曲だが新鮮に響いた。対向配置の10型。シモン役はサリドマイドの犠牲となって四肢が萎縮してしまった歌手ThomasQuashoff。明快な語り口は以前も一度聴いているが説得力がある。ハンナ役はCrtristiane Oelze.ルーカスはJ.Mark Aisnsley。合唱は放送合唱団。サイモン・ラトルの指揮を舞台下手上方から初めて見た。強烈なスフォルツァートや極端なピアニッシモなど刺激的なハイドン。歌い手の細やかなニュアンスに2vnやチェロが見事に寄り添う。今ある流れの状況いち早く察知して良いところに運んでいく。場所のせいか合唱を含めアンサンブルがばらばらに聴こえてきた。気が付くと11時を回っていた。
天地創造とともに大事な作品だ。何れも是非やってみたい。(9日10:45)



ムズィーク・フェスト・ベルリン RSBの巻

やはり涼しめの朝。同居人さんがおにぎりを作って置いておいて下さる。人の作ったものは美味しく感じるものだ、実際美味しかった。
ベルリンに来てから一番出入りをさせてもらっている、RSB(Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin)も今晩、ムシークフェスト・ベルリンの一夜を担当する。そのゲネプロ。諸事情があってソリスト抜きの45分間ゲネプロ。夕方のバランスチェックまで長い休憩。
たまたまホールでリハの様子を見ていたドイツ人の指揮者としばし音楽事情を歓談。閑談?
同じジェネレーションとあって指揮者談義。
さて、夜は再びフィルハーモニー。家の前の停留所から会場近くまでのバスは時刻表ではおよそ5分おきに走っている。どうやらてきと~に間引いているようだが、それを見込んで20分強の道のり。ロンドン同様2階建てバスなので外の景色を見ながら向かう。
前半はショスタコーヴィッチのミケランジェロの詩による組曲。バスバリトンの歌手は大役を無事務めた。500年前に書かれた彫刻家で有名なミケランジェロの詩。深遠な味わいのある歌だ。作曲家の境遇しかり、苦悩の無いところからは後世に残る芸術は生まれないのだろうか。いつか良い歌手を得て手がけたい作品だ。後半はバルトークの唯一のオペラ「青髭公の城」。ドイツでは有名な俳優Otto Sander氏の語り、Petra Langの全編暗譜で歌いきったユディット、Albert Dohmenの深いバスは青髭公の役を見事に演じきった。指揮のマレク・ヤノフスキは緻密に稽古をつけて、安定した本番。バランス感覚、歌ものは実に見事だ。それにしても渋いプロ。途中大太鼓が音をたてて破れるハプニングもあったが火繰り返して張ってあった透明のプラスティック面を何事もないように?叩く。ほっとした。
このオケは相当レベルが高いと思う。録音は勿論、マエストロの影響を受けてオペラでも当然対応出来るフレキシブルな機能を備える。数年後どうなっているか楽しみだ。
月夜を見ながら家路。(9日0:15)

ムズィーク・フェスト・ベルリン LPOの巻

このところ涼しい朝が続いている。というよりきっとこのまま冬に向かっていくような気もする。
明け方まで起きていたので少しゆっくり9時ごろ空腹で目覚める。雨の予報ながら大きく崩れることも無かった。
散歩がてらRabienにバウムクーヘンを求めに行く。その足で宇田川のランチへ久々に行こうとしたが間に合わず、殆どの店が閉まっている日曜日、ここはどうかなと近所にある中華インビスの店の前で様子を伺っていたら、近所のおばちゃん(親しみを込めて)が、ここは美味しいわよ、と声を掛けてきた。薦めに乗って入店。デリバリーもしている。食べているとそこにあの女性が、お弁当を求めにやって来た。「あんた来てたの~はっはっはっ」と豪快なアジア系。待っている間、かなりアルコール度の高いシュナップスを頼み、豪快に一気飲み。「これは消化にいいのよ、はっはっはっ」見たいな根拠の無いことを言っている。ドイツの女性はた○○しい。またばったり道で会いそうだ。ちと楽しみ、はっはっはっ。

さて今宵は何度もロンドンで足を運んだ、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団=クルト・マズアによるショスタコーヴィッチの7番「レニングラード」1曲プロ。
一概に何をもってそのオーケストラの特徴と言えるか分からないが、誇り高き名門の味がある。明らかにドイツのオケとの違いは弦のサウンド、軽いと言っては語弊があるだろうか、管楽器の音色は特にホルンは顕著だった。
アンサンブルの能力の高さは、殆ど大振りをしないマエストロの指揮に対するレスポンスからも伺える。3楽章のヴィオラが実に美しい。フルートも味。
時間にして80分の大作、しかも代表作のひとつであるこの7番、当時どのように音楽が奏でられていただろうかとふと頭がよぎる。戦争体験のない世代が殆どだろうか、どうしようもない情勢のなかから生まれた作品の求める「声」は今宵、旧東ドイツ出身の名匠の手によって名門のイギリスのオケが奏でた。均整の取れた美しいショスタコーヴィッチ。クルト・マズア氏の無駄のない、人間味溢れる端正な音楽に共感を覚える。
かつて滞在中に知り合った事務局のディレクターはロンドンで留守番のようで会うことが出来ず残念。折角なのでマエストロの楽屋を訪ね、ミーハーをして来た。82歳。穏やかな好々爺、丁寧に話をしてくださる。小沢さんもそうだったが巨匠たちは気さくな人が多いような気もする。
ここ数日、月が明るくまん丸だ。日本の月も同じような表情をしているだろうか。
良い1週間を。(7日1:45)

ムズィーク・フェスト・ベルリン RCOの巻

幾分寒めの朝。いつも土曜日は少しゆったりするのだが、今日はRSOのゲネを聴きにフィルハーモニーへ。バルトーク「青髭公の城」は要所のサウンドチェックと返し稽古の後、ヤノフスキ氏は一気に通す。合わせて90分。ソリストの歌唱、語りが見事、来週の本番が楽しみだ。
雨もぽつりぽつりと降る中、IKEAに買いものに出かけてみる。特段ほしい物があるわけでもないのだが、面白いものを見つけに。春に必要なものは取りあえず揃えたので、不自由は無い。記憶に留めてカタログだけ持って帰る。このカタログが楽しい。

今宵はオランダの名門、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏会。圧巻。
シュニトケの「Ritual 大オーケストラのための~第2次世界大戦の犠牲者への追悼、ベオグラード解放40年記念の折に」。3拍子に貫かれた最弱音から最大音へ、そして再び最弱音に回帰する非常にシンプルながらリズムと音組織のうねりが絶妙な効果を生む佳作。背景は実に複雑だ。ソビエトに生まれドイツに没すまでの社会情勢や、後のベルリンの壁構築につながるフルシチョフの政策による影響も受けることになる。興味深い作品。
ハイドンの100番「軍隊」、オーケストラの弦の色が何とも心地良い。アンサンブルの見事なこと、歌の運びがごく自然で明晰。終楽章コーダで打楽器群が下手から客席前を行進しながら演奏、演出効果も抜群。細部を大事に歌わせることの出来るテンポ、見事。
休憩後はショスタコーヴィッチ、10番の交響曲。亡き師:寺原伸夫先生の永くとどめられる傑作と仰るとおり惹き付けられっぱなし。容易く楽しい音楽とは到底言えないものだけれど作曲家がその音符に込める想いは、凄まじい程に深い。
アンコールは悲しきワルツとカテリーナ・イズマイロヴァ間奏曲、シベリウスは絶品。オーケストラのメンバーの表情がいい。日本人も4名活躍。コンセルトヘボウの音響が素晴らしかったことをふと思い出す。あそこから遥々ベルリンへ音楽を持って来てくれた訳だ。
マリス・ヤンソンス、素晴らしい指揮者だ。
いい演奏会だった。(6日1:20)

ムズィーク・フェスト・ベルリン BBCの巻

涼しい朝を迎える。陽射しも柔らかく届く。ベルリンの夏は終わったと見た。でもあのジリジリと来る太陽が恋しい。夏が特に好きな訳でもないのに何故だ、ドイツ人化してきたのだろうか。そんなぁ。

先月アジアンショップで試しに求め、味を占めたかぼちゃ、いったい何処から取り寄せるのだろう。それは考えずに再び切り身をゲットし、今回は豚挽肉と煮付ける。味覚は日本人のままで本当に良かった。

最近漸くこのブログもほぼ毎日更新に戻ってきた。必殺書き溜めも減り、自分の日々の記録の為ながら、実はこんなことがあったと後で思い起こせるように書き流す。1年前、日本を離れてからは音楽の話題を敢えて置いておき、似非男の料理と日々の日記を某ブログに綴っても見たが、どうもややこしくなってきた。そんな訳で自分の研究について以外はいつでも思い出せるように残しておこう。こちらに来て毎日の食事の9割は自炊だがほぼ全て日記のように写真に収めて来た。生きている証拠のようだ。だが最近愛用のデジカメが不調で電源が入らない。食べ過ぎだろうか。

さて今宵は標記の公演、オーケストラの初日。ロンドンでは何度も足を運んだBBC交響楽団。オケのサウンドがまるで違って聴こえる。今回はUKから何と5団体の登場、聴き比べが楽しみだ。さてプログラムは全て「死」と関連のある内容。のっけからそう来たかと言わんばかりの2時間半。まずクセナキスのノモスガンマ、小生の生まれ年に書かれた作品。フィルハーモニーの舞台には弦楽器奏者だけ配置され、パートは入り乱れて、管打楽器は客席の360度至るところに散って演奏。牢獄の中なのだろうか、不安を掻き立てるノイズの嵐。戦争で右目を失い反ナチスに死刑を宣告され逃亡、と聞けば、死と向き合わざるを得なかった作曲家の苦悩や精神を、その異常なまでに強いられる緊張から汲み取ることが出来よう。続いて丁度100年前に書かれたラフマニノフの交響詩「死の島」、A・ベックリンの同名の複製画に霊感を得たというもの、絵を見てもたしかにそう、終始ネガティブな雰囲気を醸しだす。休憩後は再びクセナキスで”アイス”。バリトンと打楽器のソロが入り、独特の音空間を生み出す。鶏の鳴きまねや裏声、ロングトーン等思わず笑いを堪える人も。実は笑えない。ホメロスやサッフォーの冥界に関する詩句を用いて書かれているそうだ。今宵のメイン、ショスタコービッチ、7番の交響曲。一度聴いたら忘れないような印象に残るメロディが多くある。短いながらも「スターリン万歳」などと言えるものかと、内容の詰まった作品。恩師寺原伸夫先生の解説を読み演奏に触れる。ベルリンの壁崩壊から20年の今年、作曲者を苦しめた当時の情勢や平和を考える、音楽を通じて訴えるに足る内容の演奏会だった。良い週末を。(5日1:30)

恵みの雨

一昨日の真夏の陽射しは何だったのかと思える程に、朝から冷たい雨が降った。考えてみるとここ暫く雨らしい雨が降っていないのだけれど、日照時間が充分な印象でもない。かといって、家の中もからからに乾いていて明け方は喉が干上がって目を覚ますこともしばしばだ。

無骨な様相を呈していた蕪も、鶏から出るゼラチンのお陰か、我ながらに見事に出来た煮物とその煮こごりで一日のスタート。素材を褒めてやりながらご飯を頂く。

さて、今日はRSBのリハに顔を出す。ほぼルーツに近い、プロの公演スタッフとして二十歳代の頃初仕事で手がけた、バルトーク「青髭公の城」オケプローべ。スコアを持って開くものの違う題名。最初のひとコマで退散。このオケのサウンドは馴染んで心地良い。
Kant str.にある楽譜屋に赴く。英語で丁寧に対応してくれる店員の女性が良い仕事をしてくれる。
ロンドンやドイツ国内の知人とメールのやり取りをする。日本とはむしろスカイプの電話を使って交信。
夕方一杯暗い空だったが、後に雲が薄くなり陽差しが入ってきた。思わず冬のロンドンを思い浮かべて、恵みの雨の上がった空と日没の急激な早まりに、日中晴れていなくてもテラスで食事をしたがるドイツ人の気持ちも分かるような気がする。
(4日0:20)

裸足のヴァイオリニスト

暑くも無く寒くも無い心地の良い一日。日差しはじりじりと言うほどではないが、直接肌に当たると焼かれている感覚。
今日はピットから出たシューターツオパーがシュターツカペレに名を変え、シンフォニーオーケストラとしての演奏会のゲネプロに行ってみた。
先回モーツァルトの「後宮からの逃走」で印象に残っているフィリップ・ジョルダン、まだ34歳。
フィルハーモニーでシュトラウスのアルペンシンフォニーを。4管編成100名規模のオケをすっきりとまとめる手腕は凄い。そして前座をつとめる今日の出色はPatricia Kopatchinskayaのヴァイオリン。リゲティのコンチェルトを。リハーサルで舞台の上で靴を脱ぎ並べて置き、裸足で臨む。本番を楽しみに会場を後にする。
バスで20分強乗って最寄の停留所まで帰りヴォルヴィックをケースで求める。先日買っておいた蕪を眺めて何にしようか考える。しかしどうしたらこんなにでかくなるんや、といわんばかりぶくぶく肥えている。骨ごと鶏のももとにんじん、蕪で煮物を豪快に作る。あとは鍋の中で仲ようしてくれ。
幼馴染から30年ぶりの再会メール。嬉しいなぁ。仕事のメールや調べものを済ませて再びホールへ。
今宵の主席主席トランペットの日本人の奥様やそのお弟子さん、かつて共演したヴァイオリニストの息子さん、先日ばったり会ったピアノの海瀬さんとも会場で会う。しっかり社交場としての機能をするホールだ。
リゲティ、素晴らしい。やはり裸足。ドレスで隠れてはいるがあれだけ激しく演奏すれば5本指まで。ゲネプロでその溢れんばかりの音楽を見たが、本番はパワー全開
。難解な音組織の塊を表情豊かに語りかける。ロンドンでも聴いたが作品の面白みが一層引き出された。ブラボーの嵐。アンコール2曲も秀悦。現代作品でロック張りの高揚を導き出した。
アルペンシンフォニー、オーケストラの機能の高さ、個々のメンバーのクオリティーが光る秀演。オーボエの音色は好きだな。コントラバスのアカデミー生、瀬さんも公演の成功に寄与。いつかやってみたい作品のひとつだな。終演後は瀬さん、海瀬さんと会食。ここに来て初めてアイスヴァインを食す。でかすぎ。3日分のたんぱく質を摂取。地面が見えないとは大袈裟だがごっつぁんスタイルでバスに乗り込む。
蕪の味見は明日にしよう。明日は久々に雨の予報。(3日8:50)

ベルリン 残暑

いったい。どうしたことか。寒さにそろそろ布団を考えなければと思っていたのに、ギラギラ真夏の太陽に逆戻り。日中は32度まで上がっていたようだ。一晩で22度寒暖の差があった事になる。なんじゃらほい。何だか身体が付いて行っていない気もする。
今朝はベルリンのメッセ会場の側にある、ベルリン放送響のリハへ。Hans-Christoph Rademann氏の指揮。RIASカンマーコーアとの共演、メンデルスゾーンの詩篇から作品91と48の2曲に加えて、それぞれの詩篇に現代作曲家が作った作品。計4曲。ドイツ国内に演奏旅行に行った後、ベルリンでも公演するようだ。合唱の深みのあるサウンドが心地よい。ソプラノのソリストが素敵な声だった。メンデルスゾーンは地味ながらなかなか味わいのある曲だった。
リハを終えて、どこかの指揮者が講習会を開いていると言うことで、電車を乗り継いで覘きに出かけて見た。一番今日暑かった時間帯だろうか。サングラスが必需品だ。オーケストラはなかなか立派なものだったが、残念ながらその他のクオリティは高くなく、ひとコマで会場を出る。
帰り道にシュターツオパーまで出向き、明日と月末の演奏会のチケットを確保する。重なる時はフィルハーモニーでベルリンフィルがやっているかと思えば、コンツェルトハウスで別のオケ、更にシュターツオパーに、ドイチュオパー、コーミッシェオパーが何かしら同時に催していたりする。凄い町だ。
今日は充分に1万歩は歩いたな。同居人さんが、今月下旬にあるベルリンのマラソンに参加するそうだ。そのスタミナと持続力とか忍耐力は得難い。
魚を焼いて純日本食を頂く。美味しい匂いを窓からご近所におすそわけ。
明日は暑いか寒いか、さぁどっちだ!(23:55)


             

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