快晴続きのベルリンは日本では初夏を思い起こさせる陽気だ。
日本との違いと言ったら先ずこの湿気のないからっとした空気。うっかりすると焼きたてのパンも一晩でかりかりになってしまう。
そしてますます日が長く感じられるようになってきた。今日の日の出は5時33分、日の入りが8時35分となれば、日中昼寝をしたくなることもある。商店も昼休みを取る所もあるし午後1時から3時は生活音を出してはいけないという法律があるのにも少し頷ける。
演奏会は大抵夜8時から始まる。終演が11時近いこともあるが、然程気にもならない。
さて、これまでベルリン放送響や、ベルリンドイツ響のリハーサルやゲネプロの見学をしてきた。ひとつの演奏会にしっかりとプローべをとって準備している。日本と大きく違うのは前者のオケの場合、朝10時から音出しで、ひとコマがおよそ90分。10分そこそこ休んで再び1時頃まで。昼休憩も25分位だろうか、そのまま3時前までやってしまう。
金管のメンバーは、難しい強奏のパッセージを平気で何度も吹きこなす。プローベで揺るがないものが出来上がる。
最近出向いた演奏会はベルリン放送響=コンツェルトハウスでの定期、プロコの2番のピアノ協、展覧会の絵。盛り上がる。戦後に立て替えられたホールというがサウンドはとてもいい。オケの各セクションがバランスよく深く支えられる。
その後東ベルリン時代の工場跡らしい建物を改装してホールに仕立てたRadialsystemという会場でのファミリーコンサート。エンターテイナーの団員が司会進行を面白おかしく務める。ベルリンフィルのバス・トロンボーン奏者:Stefan Schulzのソロが秀悦。作曲家のDaniel Schnyderの作品が面白い。
コンツェルトハウス管が巨匠ゲンナジー・ロジェストヴェンスキーとプロコフィエフ、チャイコフスキーのそれぞれ5番の交響曲。日本ではやらないんだなぁこういうプロは。3年ぶりにお会いしに楽屋へ。相変わらずお茶目な人だった。読売日響さんとの合唱指揮でタネーエフとストラヴィンスキーをご一緒して以来の再会だ。赤坂で夫人と共にお寿司を頂いたのを思い出す。お元気そうで何よりだった。
ベルリン・ドイツ響とベルリン放送合唱団のヴェルディ「聖歌四篇」アイブスの交響曲第4番を聴く。ヴェルディはいつかやりたい。合唱団の質の高さとスタミナを目の当たりにする。指揮はAndrew Davis。一日前のゲネプロに立ち会ったが本番でその高められた精度を発揮できるクオリティーは素晴らしい。
フィルハーモニーは面白いホールだ。どこで聞いても楽しめる。一番奥で聞いたが遠いという印象はない。全て明晰に捉えられる。楽屋周りがまた良くできている。奏者の楽屋が同じ階にあるので演奏者に優しい。キャンティーンの味も悪くない。寧ろ、聴衆にとっては迷路のような階段だらけで、年齢層の高いベルリンの聴衆にとってはちと辛いかも知れない。というか帰りの列がのんびり動き、はまると外に出られるまで相当時間がかかる。そこでせっかちだったんだなぁと自覚する。
今月はベルリンフィルの4人の巨匠を聴き比べ?今日はMuti,その後 オザワさんにラトル、そしてアッバードだ。何かいい発見が出来るに違いない。
メーデーの昨日は全て商店も閉まり、労働者の祭典として集会もあったのだろうが、人々は各地で春のお祭りでもあるその休日を楽しんでいるようだった。
5月、さつきは見ないがマロニエが満開、風にたなびく街路樹を見ているだけでそれは楽しい。花屋の店先も賑やかだ。
休日の公園では芝生に寝そべる人たちが大勢見受けられる。日本のニュースでは潮干狩りの写真。お目当てのそれよりもはるかに多そうな人だかりに思わず笑っちゃう。
新型インフルエンザも心配ではあるが、小生にとっては今のところ、大事に育てているバジルに付いてきた要らない虫の方が悩みの種だ。
どうぞ良いゴールデンウィークを。