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May 2009

ベルリンの日曜

大きな商店を除いてほぼどこも店も閉まる日曜日。それでも人通りは多くのんびり散歩といったところなのだろうか。
今月に入って、街中を白い綿毛が飛び交う。ポプラとか、タンポポとかいろんな人がいろんなことを言うが、多いところでは雪が舞うかの如くだ。花粉のお化けと捉えると、これはたまったものじゃない。鼻がむずむずしてくるし、ばほっと吸い込もうものなら即座に花粉症認定だ。
現在はライ麦やオオバコといったものが飛んでいるようだ。余り考えないことにしよう。
朝から放送響のゲネを見て、そのあと、フィルハーモニーへコンツェルトハウス管とアマチュア合唱団の「エリア」を聴いた。Thomas Quasthoffのエリアが秀悦。合唱も健闘。合唱はどこもレベルが高い。4時からエリア、終演時には次のアバド=ベルリンフィルのお客が入れ替わりで入ってくる、回転率の高い日曜のフィルハーモニー。バスに飛び乗り放送響の7時からのハイドン100番とネルソンミサに間に合う。2日続けて演奏会の梯子だ。
少し、のんびりやろうか。

ベルリン発特急

ベルリン=アバドの初日公演から一夜明けて、週末の土曜日は暖かい一日だった。

夜の予定を変更して、思い立ったようにハンブルクに出かけてみる。というのも、ベルリン国立バレエの針山愛美さんが急遽、先日見たオネーギンの舞台に立つことになったというお話から、丁度ハンブルクであるバレエの公演を見に行けなくなったと聞き、それはきっといい舞台に違いないと思いチケットを譲っていただいたのだ。

朝オペラ座でチケットを受け取り、昼前にHauptbahnhofから特急に飛び乗る。時間がなくてチケットを前もって求めなかった。ドイツの国鉄はなかなかサービスも良い。2時間強の小旅行。ジュースとパンのサービスに続いて小さな箱に入ったチョコレートを配られる。

広大な大地。長閑な田園風景はどこでも見られると言ってしまえばそれまでだが、小生にとって飽きるものではない。230キロ前後のスピードまで出していたが非常に乗り心地も良い。
市内を走る電車を見てもそうなのだが鉄の塊が地上うを滑るようで、非常にがっしりした作りをしている印象がある。

さて、ハンブルク中央駅、駅舎も立派。夏の陽気のこの街は何だか明るい。港町で駅から程近いところに海をつなぐ人口湖のようなものもあり爽やかなリゾート気分だ。後に聞いたところではどうやら補助金か何かで潤っている町なのだそうだ。
日本料理店で軽く昼食を済ませ、国立歌劇場へ。演目は「椿姫」。といってもヴェルディの同名ではない。全編がショパンのピアノ作品で貫かれている。John Neimeierの作品、それはそれは心理描写が見事で言葉無くしてこれだけ深く想いを伝えられる舞台に釘付けだ。アレクサンドル・デュマの息子の原作をノイマイヤー氏が見事な展開に仕立てる。氏は会場で小生の斜め前に座っていらした。2月に日本で同作品の公演があったようだが、今回見たSilvia Azzoni とTiago Bordinの迫真の演技に脱帽。
特急に乗って来た甲斐があった。
このまま帰ってはもったいないと、見所は沢山あれどブラームスゆかりの生家跡や、モニュメントのあるライスハレ・ムジークハレへ。それがこの町のクラシックの殿堂だとは知らず、帰ろうとしていたら、何やら今晩ここで演奏会があるらいい。何故か、オスロフィル。先日ベルリンにも来ていたが、ホールの中も見ていたいとまたもや思い立ち、チケットを購入。美味しい魚を食す夢は崩れた。アンネ・ゾフィー・ムターのメンデルスゾーンVn協、ユッカ=ペッカ=サラステの指揮。メインはシベリウスの1番。初めてアメリカ大陸に渡りオレゴン響を指揮をしたのがこの曲、懐かしい思い出だ。
気が付くとベルリンに向かう終電。駅で焼きそば弁当をもとめ、貸しきり状態の特急で缶ビールと共に頂く。日帰り長岡の合唱稽古みたいだ、とそんなことを思い出す。
2時過ぎに帰宅。小旅行は無事終了。

ベルリンフィル

クラウディオ・アッバード=ベルリン・フィル初日、圧巻。

その前に、午前中はベルリン放送響のリハ、ベルリン歴史博物館の中庭。ハイドン100番のシンフォニーとネルソン・ミサ。MDRライプツィヒ放送合唱団のサウンドが光る。

とうとうベルリンの日の出は4時台に突入、一日の時間が長くなったような感覚。30分くらい昼寝なんぞをしてみる。

そしてバスでフィルハーモニーへ。今日はダフ屋の兄さんもいない。しかし、早くから何だか会場は異様な盛り上がりを見せる。おしゃれなプログラム構成。まだひとつもも振ってないのに氏の登場からブラボー。
一曲目はシューベルトのロザムンデから8曲の抜粋。放送合唱団のサウンドが光る。弦の音色が実に心地良い。地味な作品ながら叙情性あふれる歌が丁寧に浮かび上がる。2曲目はマーラーの少年の魔法の角笛から3曲はAngelika Kirchschlagerのメゾ。高き知性を称えて、トランペットの美しく鳴り響く所、ラインの小伝説。味わい深い上質な時間。
後半はドビュッシーの海。前日の公開ゲネで弦のバランスをとっていたことも見事に活かされクライマックスは壮麗かつ圧巻。16本のチェロも贅沢。ゲネと比べて初日の緊張感が見えたが弦の音色は他の指揮者にないもの。なるほど、ドビュッシーが音楽について「色とリズムを持った時間」と語ったというが、正しく贅沢な時間。明日以降のさらに熟成されるものも聴きたかった。
主席ヴィオラの清水直子さんとお話をする。

珍しく10時前には終演。家で食事を作る。


ベルリンの祝日

空は明るいのだがすっきりしない朝。予想では雨なのだがこちらの天気予報もあまり。

今日は朝昼、フラットを2往復した。朝は初めて地元のSバーンの駅から以内中心地に向かう。ところが昨日交通網を褒めた矢先、しばらく電車が来なかった。

先ず、午前はベルリン放送響のゲネ。会場はシュターツオーパーの斜向かいにある歴史博物館の中庭。太陽光を取り入れられる屋根が付き、お風呂場のような響きながら4~500入るコンサートホールに変身。ハイドン特集はAnnetteDaschの歌が光る。ハイドン初期の交響曲は、弦の各パートのソロや木管の使い方も面白い。

予定より1時間早く正午前にゲネを終え、ちょっと寄り道をしようと街を歩くのだが様子がおかしい。一度バスを乗り継いで家へ戻る。あれ?どこも休みだ。今日は木曜だし商店も普通に営業しているはず。たまたま昼過ぎに通ったから、みんなでシエスタか?んな訳ない!
思わず家に帰りドイツのガイドブックを開くと何と今日は祝日。ついこの間メーデーやら復活祭をしたばかりと思いきや、キリスト昇天祭だそうだ。目の前に教会がありながらお見逸れしてしまった。月末には再び精霊降臨祭と精霊降臨祭翌日の月曜日というもの、来月には聖体祭という祝日がある。なるほど。

さて、夕方4時からはフィルハーモニーでアッバード=ベルリンフィルの公開ゲネプロに入ることが出来た。それはそれはベルリンフィルの弦の色の美しいこと。ピアニッシモの美しさに鳥肌が立つ。大勢の聴衆もオケからも絶大な人気だ。本番は明日から3日間。初日のチケットを以前に取ることが出来た。楽しみだ。

フィルハーモニーを後にして、今日はシュターツオペラで、シュターツバレエを観る。チャイコフフキーの「オネーギン」今回もポリーナ・セミョノーヴァが主役のタチアナ、オネーギン役のWieslaw Dudek にオルガ役のCorinne Verdeilも光る。素人の小生が見ても釘付けになる舞台。オケも良く鳴っていた。音楽と一つ一つの動きが実に自然。何度もカーテンコールがあった。

他のホールではゾフィー・ムターのリサイタルがあったり、アッバードの後は夜オスロフィルのた旅公演もあったようだ。凄い町だ。

さて夕方雷雨が激しく降ったが、一転して明日はいい天気になるだろうか。


ベルリンの交通

昨日もベルリン放送響、2つの演奏会のリハ。ハイドン特集は恐らく今最も売り出しているソプラノ、Annette Daschのコンサートアリアが目玉だ。先日の小澤=エリアでも見事な歌唱。
もうひとつはどこかの式典で演奏する、マイスタージンガーと何故か威風堂々、ドイツの大統領だか誰だかが、突然振っていた。ここでもあるのね、花を持たせちゃうようなステージ。
Mo.Janowski氏と話をする。ベルリンはすべてのプロ・オーケストラ、テアターを入れると7つ共にドイツのAクラスのオケばかり。競争が激しい。財政状況に併せてどこも下手な演奏は聴かせられない。というのはどこの演奏会に行っても感じることだ。

フラットのあるStegliz地区から、ベルリンフィルのホールまで、バスで20分、2つの放送響の練習場まで、地下鉄とSバーンを乗り継いで20分。ドイツオーパーまで地下鉄で20分、シュターツオーパーもコンツェルトハウスも20分強で行ける。なかなか市内の交通網はうまく出来ている。しばしば無茶苦茶なダイヤになったり、露店が出て迂回したりアバウトだが、ちょっと余裕を持って、目くじらを立てて生活しなければ何も問題は無い。
郵便も市内は速い。電話の手続きやNHKの受信料みたいなののサービスはとにかく手間がかかる。
美味しい米と魚が食べたい!肉はもういいや。

ベルリンの日照

久々に2日続けての日記。
今日も、ベルリン放送響のリハーサルに顔を出す。ハイドン特集。弦の響きが心地よい。
一ケタの比較的若い作品も取り上げているが、なかなか面白い。ハイドン、古典を築いたのみならず、焦点を当てるべき作品がもっとあるような気がする。
市内の楽譜屋さんを2件物色。我がフラットはまだ載っているものは軽いが、じわじわ重りが増えていきそうだ。
夜は「白雪姫」。赤いリンゴの山に横たわる、青林檎をかじって眠りに付いた裸の女性のポスターが印象的。ベルリン国立バレエ団の公演。Shoko Nakamuraという日本人が白雪姫を演じる。マーラーのシンフォニーのテープを用いた舞台。バレエは詳しくないので判らないのだが前衛というべきなのか、しかし描いているものは非常に明解。 1時間50分休憩なし1っ本勝負。一つ一つの動きにどんな意味が込められているのか、音と身体表現の関係についてますます興味が沸く。音のない時間の動きに印象が残る。本当に面白い。

とうとう日の入りが9時を回ってしまった!いつまで照ってんのやっ、てな感じ。そして日の出はそろそろ5時から何と4時台に突入することに。太陽は働きものだ。でも当分この感覚には慣れそうに無い。長い冬の反動とも言えようか。気を付けないと遅くまでご飯を、、。どこまで行くんや!

ベルリンの青空

空気が澄んでいるのだろう。天国に向かって深い青空が広がる。思わず見入ってしまう。

土曜日はベルリンフィル=小澤征爾、メンデルスゾーン「エリア」を聴いた。
一瞬のぶれもない突き進むような2時間。
譜面の置いていない指揮台を前に暗譜。
世界のオザワたる所以を実演を通して改めて認識した。
エリアのMatthias Goerneの表現力にも脱帽。ベルリン放送合唱団のクオリティも高い。ヴィブラートのコントロールもしっかりしている。コンサートマスターの席には同じジャパンアーツの名ヴァイオリニスト樫本大進氏、そしてヴィオラのサイドに清水直子さんと日本人が小澤さんを脇で固める絵。
考えてみるとこれまで一度もきっかけがなかったのだが、今回初めて楽屋を訪ね小澤先生と挨拶を交わす。ドキュメントやテレビで見るのと同じ表情、そしてその物腰。
2日目の公演だったが久々に感動をした。そして最終公演の昨日も思わず当日券を求めにホールへ。当然売り切れ。ダフ屋の兄ちゃんと目が合う。ちょっと怖め。開演間際になって彼も何とかしたかったのに違いない。提案を当然断り、定価に2ユーロ上乗せした額で交渉成立。終演後再び小澤先生に、そして一緒に同行していらした元ベルリンフィルの名ヴィオリスト土屋邦雄さんとも知り合う。

小澤先生と言うべきなのだろうが自然と小澤さんと呼びたくなるものがある。
かつて、今は亡き岩城宏之先生が、先生って言ったらもう口をきかない、と言われて困り果てている我々を見てニヤニヤしておられたのを懐かしく思い出す。団員さんは「オザワサン」と親しみを込めて呼ぶ。

この小澤さんという大指揮者の人柄が滲み出でている演奏だった。

エリア、やはり素晴らしい作品だ。また是非あたためて演奏したい。
ベルリンでもうひとつエリアを聴く予定だが、メンデルスゾーン・イヤーならではだ。ロンドンも刺激的だったが、この小さな町にこれだけクオリティーの高いアーティスト集団がいくつもあるというのも魅力的だ。

新型インフルエンザの早い収束を願う。

ベルリンの週末

ここの人たちは本当に太陽が好きだ。長い冬のせいだと思うが、テラスやバルコニーのあるレストランやカフェには店内に人はいない。ちゃんと紫外線対策してる?って声をかけてあげたくなる程だ。

1週間の経つのが速く感じる。ここ最近は専らベルリン放送響のリハに顔を出す。

音楽監督を務めるマレク・ヤノフスキー氏のブルックナー。フランクフルトとエッセンでの旅公演の準備だが、7番の交響曲は大好きな作品の1つだ。新潟響さんとご一緒したのを思いだす。放送響は今年初めに日本ツアーをしているがベートーヴェン中心だったようだ。このブルックナーはお薦めだ。深い弦の響きにドイツに居ることを改めて実感する。金管のサウンドもドイツならではだろうか。

日曜にはベルリンフィルとキリル・ペトレンコの定期。Lars Vogtのベートーヴェン3番のコンチェルトは絶品。ピアノって素晴らしい楽器だと思う。さてそのペトレンコ、どうしたって指揮者の視点で見てしまうところはあるが、例えば小生だったら細かいパッセージにオケのアンサンブルを合わせることに気を遣うところ、我ここにありと言う感じ。面白い。エルガーの交響曲2番非常に複雑ながら聴き応え充分の作品と演奏内容。

昨日は高校の後輩、沢野智子さんがベルリン放送響のメンバーによるカルテットとオケのレジデンスコンポーザーでサックス奏者のDaniel Schnyderとのアンサンブルの演奏会、国際的な室内楽のピアニストとして活躍をする彼女の見事な演奏に嬉しく誇らしい気持ち。そういえば小生が始めて歌(某高橋啓三師匠)の副科レッスンで伴奏をしてもらったのが沢野さんだったなぁ。

今日は先日知り合ったベルリン国立バレエ団のダンサー、針山愛美さんの出演する「眠りの森の美女」を観に行った。2004年にベルリン国立歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、そしてコーミッシェ・オーパーの3つの歌劇場のバレエ団を統合して国内最大の規模を持つバレエ団となったそうだが、今日はその芸術監督を務めるVladimir Malakhov氏自ら王子を演じる。Polina Seminovaら主役達も見応えのあるステージだった。そして針山さんの存在はとても魅力的で精彩を放っていた。小生の実姉も姪たちもバレエをやるのだが、改めてこれも音楽同様、人の心を豊かにしてくれる素晴らしい舞台芸術だと思う。

昨日はベルリンに入って初めて、久々に髪を切る。髪は長~い友達、なんていうキャッチのコマーシャルが昔あったが、髪は大事だな。よしよし(マッサージ)。

5月に入って少し気温が乱れ気味だが、この週末はまた市民が楽しそうに太陽の下で憩う姿を見たいものだ。

どうぞ良い週末を。

ベルリンの生活

この町の情報は「べるりんねっと」という便利なサイトや日本のワーキングサイトからも得ている。そこには前の日の市内の事件や花粉情報、生活に密接した内容が届く。今日は最高気温25度、最低気温8度との予想だった。ますます日が長くなり日の出5:22に対し日の入りは20:45だそうだ。このまま行くと夜が無くなってしまうのではと心配になる。

週の初めはベルリン放送響のリハとゲネプロ、指揮者親子の次男クリスチャン・ヤルヴィのオーケストラのレジデンスコンポーザーを務めるD.シュニーダー氏の作品。アフリカ音楽特集ということで、現地の楽器の奏者とのコラボレートなど興味深いステージ構成。

フィルハーモニーのホールではいろいろな人に会える。同じ会社に所属する樫本大進氏、コミッシェオパーの主席コントラバス奏者、ベルリン・シュターツバレエのダンサーと日本人だけでも頼もしい存在ばかりだ。

そこで仕入れた情報を元に今夜は急遽シュターツ・オペラに出向く。ハイドンのオペラ「騎士オルランド」という作品のプレミエ。ベルリン初演1798年というからこの地でも200年以上を経ての上演だ。情報をサイトで調べると北とぴあで昨年秋に上演されている。いずれも良く作品を見付けたものだ。その作品の価値は先ず譜面・テクストの読める人とその演奏に立ち会った人だけが知っているといっても良いだろう。作品とその演出はセリエ役と思い切りブッファを演じる役柄を巧みに融合させ描き分けている。R.ヤコブスの率いるフライブルグ・バロック管も秀悦、女性陣の特にMarlis PetersenとSunhae Imが光る。ハイドンの書いたバロックの終わりを告げるような喜劇だ。何故かモーツァルトの魔笛やフィガロやコシにドン・ジョヴァンニを思い起こさせるようなものがある。 面白い。

ベルリンに居を構えてからこの7日で47日が経過、さまざまな経緯を経て漸く、このベルリンに観光パスポートではなく正式な滞在許可が下りた。中々難しいものがあったが手続きにはいろいろな人に支えられた。
これでこの地を日本としばらくもうひとつの拠点として機能させていくことになる。
お世話になった皆様、ありがとうございました。

3ヶ月以上海外に滞在するときは在留届をする必要があるが、今日はフィルハーモニーの傍にある在ドイツ日本大使館に出向く。警備が厳重、なるほどここはドイツの中の日本国の機能を果たしているのが良く分かる。

とあれこれ言いながら、日本での存在を忘れられないようにしなければ。もう少ししたらスケジュールをアップしていこう。

雨上がりの部屋から見える月はそろそろ満月だろうか。
明日はアイスクリームの日だそうだ。よ~し。
大連休最後の週末、良い時間をお過ごしください。

ベルリンの街並

5月に入って昨日辺りから急に冷え込み寒暖の差は10度以上。明日は一ケタの気温に戻りそうだ。仕舞い込んだセーターを取り出す。

小生がベルリンに入ってから急に春を通り越して夏のような天候が続いていたが、そのせいで、ベルリンの市街地も街路樹の緑がまぶしくきらめいている。中でも目を引くのが、その大きな緑の葉からやわらかい白い房の花をつけたマロニエ、そしてその濃いピンク色をしたヴァージョンもコントラストが美しい。藤の花もお目見え。

日曜日にはdas sinfonie orchester berlinという面白い存在のオーケストラの演奏会に出かける。ここには母校の後輩たちや、活躍する日本人のプレーヤーも絶えず加わっていて、いつでもほぼ満席、親しみやすいプログラムで人気も高い。本番を終えた日本の奏者達に混ざって一杯。この本番が午後4時からで、8時からは本拠・ベルリンフィルの定期を聴く。多いときには一日朝、午後、夜とフル稼働しているホールはやはりシンボル的な存在だ。

さて夜の指揮者はR・ムーティ。運命の力序曲、G・Martucciのメゾとオーケストラのための作品。V・Urmanaは良いメゾ。メインはシューベルトのグレイト。極めて単純な感想ながらとても良かった。明るいサウンド。オケとも良好な関係が伺える。

昨夜は午後から、フラットに新しい家具を運び入れた。前の住人は綺麗にしかもすぐ代って住める状態にしてくれていたのだが、大事に受け継ぎつつも気分一新、今回机やベッドなどを揃えた。気分の良いものだ。物置になっていた3畳の小部屋を改造してみた。

日本はそろそろゴールデンウィークも終わりかな。いや、まだ続ける人もいるのだろうか。新型インフルエンザの収束を祈ろう。

皐月のベルリン

快晴続きのベルリンは日本では初夏を思い起こさせる陽気だ。

日本との違いと言ったら先ずこの湿気のないからっとした空気。うっかりすると焼きたてのパンも一晩でかりかりになってしまう。

そしてますます日が長く感じられるようになってきた。今日の日の出は5時33分、日の入りが8時35分となれば、日中昼寝をしたくなることもある。商店も昼休みを取る所もあるし午後1時から3時は生活音を出してはいけないという法律があるのにも少し頷ける。

演奏会は大抵夜8時から始まる。終演が11時近いこともあるが、然程気にもならない。

さて、これまでベルリン放送響や、ベルリンドイツ響のリハーサルやゲネプロの見学をしてきた。ひとつの演奏会にしっかりとプローべをとって準備している。日本と大きく違うのは前者のオケの場合、朝10時から音出しで、ひとコマがおよそ90分。10分そこそこ休んで再び1時頃まで。昼休憩も25分位だろうか、そのまま3時前までやってしまう。

金管のメンバーは、難しい強奏のパッセージを平気で何度も吹きこなす。プローベで揺るがないものが出来上がる。

最近出向いた演奏会はベルリン放送響=コンツェルトハウスでの定期、プロコの2番のピアノ協、展覧会の絵。盛り上がる。戦後に立て替えられたホールというがサウンドはとてもいい。オケの各セクションがバランスよく深く支えられる。

その後東ベルリン時代の工場跡らしい建物を改装してホールに仕立てたRadialsystemという会場でのファミリーコンサート。エンターテイナーの団員が司会進行を面白おかしく務める。ベルリンフィルのバス・トロンボーン奏者:Stefan Schulzのソロが秀悦。作曲家のDaniel Schnyderの作品が面白い。

コンツェルトハウス管が巨匠ゲンナジー・ロジェストヴェンスキーとプロコフィエフ、チャイコフスキーのそれぞれ5番の交響曲。日本ではやらないんだなぁこういうプロは。3年ぶりにお会いしに楽屋へ。相変わらずお茶目な人だった。読売日響さんとの合唱指揮でタネーエフとストラヴィンスキーをご一緒して以来の再会だ。赤坂で夫人と共にお寿司を頂いたのを思い出す。お元気そうで何よりだった。

ベルリン・ドイツ響とベルリン放送合唱団のヴェルディ「聖歌四篇」アイブスの交響曲第4番を聴く。ヴェルディはいつかやりたい。合唱団の質の高さとスタミナを目の当たりにする。指揮はAndrew Davis。一日前のゲネプロに立ち会ったが本番でその高められた精度を発揮できるクオリティーは素晴らしい。

フィルハーモニーは面白いホールだ。どこで聞いても楽しめる。一番奥で聞いたが遠いという印象はない。全て明晰に捉えられる。楽屋周りがまた良くできている。奏者の楽屋が同じ階にあるので演奏者に優しい。キャンティーンの味も悪くない。寧ろ、聴衆にとっては迷路のような階段だらけで、年齢層の高いベルリンの聴衆にとってはちと辛いかも知れない。というか帰りの列がのんびり動き、はまると外に出られるまで相当時間がかかる。そこでせっかちだったんだなぁと自覚する。

今月はベルリンフィルの4人の巨匠を聴き比べ?今日はMuti,その後 オザワさんにラトル、そしてアッバードだ。何かいい発見が出来るに違いない。

メーデーの昨日は全て商店も閉まり、労働者の祭典として集会もあったのだろうが、人々は各地で春のお祭りでもあるその休日を楽しんでいるようだった。

5月、さつきは見ないがマロニエが満開、風にたなびく街路樹を見ているだけでそれは楽しい。花屋の店先も賑やかだ。

休日の公園では芝生に寝そべる人たちが大勢見受けられる。日本のニュースでは潮干狩りの写真。お目当てのそれよりもはるかに多そうな人だかりに思わず笑っちゃう。

新型インフルエンザも心配ではあるが、小生にとっては今のところ、大事に育てているバジルに付いてきた要らない虫の方が悩みの種だ。

どうぞ良いゴールデンウィークを。

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