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April 2009

ベルリンの味

ベルリンに移り住んでひと月余り、あの頃が嘘のように木々が色づき新緑に満ち溢れる街並み。

既に演奏会にも幾つも足を運び、本来ならベルリンの「音」と行きたいところだが、語るのは未だ時期尚早なようだ。それだけこの地にあるオーケストラを聴いただけでも余りにも多様かつ複雑な歴史や背景があってドイツの伝統とか、ベルリンフィルの音なんて簡単に語れるものではない。刺激的な環境はロンドンに劣るものではないがぼちぼち記していこう。

食は重要だ。自分の作った料理の数々については別の場に譲るとして、この地のこれはやはりというものを記しておこう。

先ず、何と言ってもビール。国内に2千種以上とも言われるそれを飲み比べることは出来ないが、近所のスーパーでも相当数の銘柄が並ぶ。500ミリで100円しないとなると、これは危険極まりない。ミネラルウォーターよりも安い感覚だ。

イースターでどこも閉まっているのにただ一軒、それも絶大な人気を誇るソーセージとポテトを売るスタンドが通りの角にある。特製ケチャップとマヨネーズがたまらない。店を訪れる人が途絶えない、それも朝から夜中3時頃まで。しかしベルリンに上陸した3月22日以来食べていない。なかなか旨くて危険だから。

しかし正直なところ、申し訳ないがドイツの食文化には全然魅力を感じない。そんな中で最近のヒットはなんと言ってもシュパーゲルと呼ばれる白アスパラガスだ。この絶好の天候によって比較的安価で手に入る。これが甘くて美味しい。専用の皮むきまで売っているが皮をしっかり削がないと柔かい実にありつけない。しかし既にありつき過ぎた感が。

美味しいお店は残念ながらまだ日本料理の「宇田川」さん以外見つかっていない。食はやはり重要だな。開拓しよう。日本のお米が恋しい。日本の食文化万歳!

よい1週間を。

ベルリンの風

雲ひとつ無い青空。心地良い風が部屋に入ってくる。朝はプラス3度と肌寒かったが午後に入って暖かくなった。

現地時間の20日午後5時、無事に42歳の誕生日を迎えた。日本ではもう直ぐ21日も終わるが、こちらはまだおよそ半日ある。何だか得したような気分。

本厄の歳だ。穏やかに過ごせればと願う。至って健康ながらたまに変調があれば、戒めととらえよう。先ずはこの歳まで支えてくれている両親に心から感謝をしよう。

さて昨日からおめでと~メールが届く。嬉しいものだ。こちらに来て半年、小生の存在、まだ忘れられていなかったようだ。あははは。皆さんありがとうございます。

さて、今日は何をしようかな。ビザ申請のための写真を撮ってこようか。元旦と違ってその年の計というより、これからの人生の計を何かと思い浮かべる。

ベルリンの風、こちらに来て全くと言って良いほど花粉症には悩まされていない。飛んでるものが違うようだ。今盛んなのは白樺・ポプラ・樫・ブナのあたりだそうだ。あぁ、日本人で良かった。

ケーキでも買ってこよ。

ベルリンの桜

ベルリンフィルの本拠地「フィルハーモニー」まで家の前のバス停から20分。そこではさまざまなオーケストラの演奏会が開かれているが、イースターの日曜日、ふと見つけた演奏会に出かけてみる。
開演直前にダフ屋が出ていたので期待もしつつ果たして正規の当日券があるのかどうか。売り切れていたのだが、招待券の最後の一枚を出してくれたのだ。ダンケ攻めで急いで座った席は舞台横のオルガン脇の席。しかし、いいホールなんだと思う。いい響きで十分に楽しむことが出来る。
さて今宵の演奏会は小生のもっとも愛するオラトリオの一つメンデルスゾーンの「エリア」だ。
ベルリン・ドイツ交響楽団。いいオーケストラだった。歌い手も合唱も秀悦。
かつて、長岡で抜粋を、河内長野で大阪シンフォニカー響さんと全曲やったのを懐かしくも鮮烈に思い出す。
今年はメンデルスゾーン、ハイドン、ヘンデルの年、また一つベルリンで良い演奏会に巡り合えた。
おそらく3月末からこれまで雨が降っていない。昨日はお誘いを受けて日本人の音楽家たちと、お花見BBQ。それも見事な満開の八重桜を愛でながら。そのピンクの艶やかなこと。ソメイヨシノもどこかにあるらしいが、日本からいろいろと届くメールで楽しんでいるので敢えて探しはしない。
壁崩壊から今年で20年、崩壊前の様子を聞きつつこの町の歴史、その特異性を窺い知る。ベルリンの幾つかあるオーケストラのサウンドにもその変遷を辿ることができよう。

中庭の高木に付けた花はもう散りはじめ、眩しい緑の葉を付け始めた。何て言う木だろう。
あっという間に直にひと月がたってしまう。42かぁ。




ベルリンの森

わがフラットから南西へ、車に15分も走らせないところに湖や森がある。
このイースター休暇初日の聖金曜日に、高校時代の後輩がその森に案内してくれた。
湖畔には高級な屋敷が点在し、サイモン・ラトルも最近家を持ったという話。

澄んだ空気、何といってもようやく長い冬を経て、全ての生物が内から沸々と湧き起こるものが、太陽のその強い陽射しと対話をはじめる瞬間を見ているようなエネルギーに六感が働く。
森は未だ十分な葉を付けてはいない。でもさっき見た芽吹きかけている木々の景色が明らかにその緑を増している様は、ここベルリンに住む人々が待ち望んでいた春の到来そのものだ。
それが証拠にいつもは人が行き交う周辺の街並みも、人っ子ひとりいないわけじゃないが、静まりかえって心配なほどだったが、な~んだ、こんないい所に来て楽しんでるのか、と言いたくなった。

思い思いに散歩をし、湖畔に寝そべったり、レストランのテラスで当然と言わんばかりにビールやワインを浴びている。飼い犬たちも湖で泳いだり、大騒ぎ。
思いのほか陽射しが強い。

考えてみればこの太陽の季節も半年位なものか。現在の日没は夜8時。日本の時間の感覚との違いに戸惑う。ついつい夕食を遅めにとってしまうのだ。

今月は誕生月だったな。穏やかな春に感謝。

ベルリンは春

東京の桜はもう散っているようだが新潟はこれからとの報せ。ロンドンでも桜は咲いていたのだからきっとベルリン市内のどこかに咲いているのだろうなぁ。印象的な雪洞のような木に生った丸い玉のぶら下がる街路樹がどんな花を咲かせるのか楽しみだ。ベルリンは漸く木々が緑付き始める。気持ちのいい季節だ。空港に出掛ける時、もう突然長袖が暑くてたまらない衝動に駆られる。思わずポロシャツをゲット。陽射しが強い。フラットから5分圏内に大規模なスーパーが3店舗あるが家から20秒の一番近いそこは至便、バジルとパセリの鉢を買ってしまった。にんまり。ベルリンでの一番大きな買い物は包丁。これからどんな創作料理が生まれようか。越して来てから門前にそびえる教会の門が一度も開いていなかった、というか開いている時間に出くわさなかったのだが、初めて中を訪ねる。19世紀終わりの建物のようだ。深い祈りの空間に、改めてベルリンでの滞在の挨拶。この教会の朝7時の鐘の音がこれから生活のリズムを生み出してくれよう。既にこのベルリンで日本人の4名の器楽奏者と知り合った。皆頼もしくこの地で活動をしている。ベルリン、3つのメジャーオーケストラに3つのオペラと、楽しみな場所だ。あとは滞在の許可を無事得られることを祈るのみ。

新天地

住み慣れたロンドンを後にした。花が咲き春を迎えたロンドンはきっとこれからが美しいところだろう。名残惜しい気持ちを抑えつつ、次なる目的地ベルリンへ。降り立ったその地は未だ春の声を聞くには暫く時間のかかる気配、未だ肌寒い。どんよりとした天気ながら、空港を降り立ったとたんタクシーの運転手も驚く陽光。小生のベルリン滞在を歓迎してくれているに違いない、といつものようにポジティブシンキング。新しい住まいは大通りから一つ路地に入り、趣のある教会が目の前に聳え立つ。日本で言う3階にある寝室は朝の陽射しが気持ち良い。鳥の囀りと教会の鐘の音が一日の始まりを告げる。ゆったりと時間は流れるが、気が付くとあれから2週間が経っていた。時は4月、生まれ月だ。この数日ですっかりベルリンの街も春を迎えた。これからここベルリンを拠点に新たな出会いを求め、そして活動を展開していこう。

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