ロンドン 住めば都
薄暗く霧の多い冬のロンドンから次第に日が長くなり晴天も多くなってきたこの頃、街行く人の表情がどことなく明るく感じられる。ロイヤルバレエに再び。オケも指揮者も息が合ってきた。シーズン総公演数20回を越すその毎回のクオリティを保つのは相当大変な事だろう。バレエに目覚めた貴重な出会い。ロンドンには相当数のミュージカルテアターがあって週末は特に賑わう。Le Miserableを鑑賞。これもまたいいものだ。役者の歌唱力に脱帽。ロンドンには世界中からどうしてこんなに集めてきちゃったのかと言わんばかりの目に見える芸術・美術作品が膨大にある。数多くの博物館や美術館、ロンドンから離れたところにも素敵なもの、あそこにもここにも行きたいところ見ておきたいものはあったのだが何百年もかけて今があることを考えれば致し方あるまい。住まいから程近い所にキュー・ガーデンがある。母がかつて学んだ恵泉女学園短大の園芸科での恩師がそこで研究していたという。それは学校もある広大な園芸公園。土日は働かずしっかり休むこちらの人たちの生活は自然とこのような憩いの場を求めてメリハリを付けているに違いない。寄贈者のプレートが張られた数多くのベンチがいたるところに置いてある。ベストスポットを見つけるのは楽しい。多様なモクレンにスイセン、クロッカスは愛らしい。圧巻はチオノドクサの広大な青の絨毯。いよいよこれがロンドン滞在最後の土曜日となった。住めば都とはよく言ったものだ。物価は馬鹿高いし街は汚いし雑多なこの町を気が付いたらすっかり愛していた。多くの人とも出会って温情を受けた。人生のどこかでそのお返しをしていきたい。またいつか帰ろう。