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January 2009

ロンドン響=ゲルギエフの宵

ロンドンの街でも賑やかなところの一つ、ピカディリーサーカスは日本系のデパートやレストラン、食料品を扱うお店も集まる。めったに食べに行かないが昨夜は中華系の大規模なヌードル店に足を運ぶ。イギリス人と見受けられるカップルの男性が箸の使い方を女性に手解きする微笑ましい光景にちょっぴり嬉しい気分。今日は日本語版のフリー紙3種が発行される日。そこに立ち寄り、バービカンセンターへ。かつての東京音大の学生さんで見附の第九、学内のカルメン公演などで力になってくれたヴァイオリニストの宮川朋与さんがLSOの事務局の正職員として働いていることを親友の二瓶さんから知り、再開を楽しみに待ち合わせ場所へ。その学生の頃と変わらぬ周りを自然と幸せな気持ちにさせる天性の笑顔に、懐かしさと共にこのロンドンで逞しくしかも日本人が第1線で活躍していることに誇らしい気持ち。ご招待いただいて表題の演奏を一緒に聴く。前座が春の祭典。初っ端からおったまげる。かなり速いテンポ設定ながら精度の高いアンサンブル。おなじみの不思議な指揮法に先ず奏者に敬意。未曾有の語法を持つ指揮者にも敬意。後半はバルトークの青髭公の城。忘れもしないプロオケの公演副指揮デビューとして高橋啓三師匠や西明美さんともご一緒した作品。95年のことだ。バルトークの色彩感とかドラマの進行が見事。代役を見事に務めたチャーミングなElena Zhidkovaと深いバスのSir Willard Whiteも記憶に留めよう。物凄い集中力のステージはMo.ならではのもの。音楽を楽しむ条件が揃うだけに不必要な批評的な聴き方をしないでいい。深遠かつびっくりな内容のバルトークを十分楽しんだ。家に帰って11時、また料理。体型変更。(Kings Road)

バジル

ここハマースミス近くは比較的穏やかな街並みだ。尖塔の美しい教会と駅名になっているRavenscourt Parkもちょっとした憩いの場。きっと春になると奇麗だろうな。昨日はこの家で初めて洗濯。がしかし、全自動のその物体は動き出したら最後2時間半経っても止まらない。思わず仲良くしてくれよんと呼びかける。何とか無事終了。ごわごわ。このところ何を買うわけでもなくスーパーに立ち寄るのが日課になっている。毎日食卓に上がるものは比較的安価だ。水も硬水ばかりだが唯一ボルヴィックは料理に使う。店で目に留まったバジルの苗、およそ100円、連れて帰る。以来水をやり毎日数枚ずつパクパク頂く。次々とやわらかい黄緑の葉、生命力に驚き。合唱指導をお願いした同級生からの報告が美味しくできるカルボナーラのレシピ付で届く。直ぐさまパルミジャーノ・レジャーノを求めに1㌔歩く。しかしそれカロリー高いやん。(Kings court)

タイムトラベル

2度目の訪英から2週間。未だにこちらですべきことで捗らないことも少なかれあるのだが、この週末は世界一の文化遺産ミュージアム「大英博物館」に赴いた。じっくり見るなら1週間あっても足りないというのは本当だ。パルティノン神殿の彫刻群や、象形文字解読の手がかりとなった「ロゼッタ・ストーン」、古代エジプトのミイラ、そしてアジアから日本の国宝に至るまで地球人は凄いぞと言わんばかりの、悠久の営みに暫し時を忘れる。しかしここまで良く集めたものだ。ギリシャが彫刻を返せと言うのもある意味納得できる。また訪れたい。昨夜は無性に親子丼が食べたくなって日本の食材屋へだし汁、それに卵と鶏肉を求める。たまねぎはちゃんと冷蔵庫に入れてあった。ご飯は一合炊きのトラベルクッカーで作るが考えてみると一食にしては結構量が多い。結果中々上出来。今夜は大量にあるその鶏の足と煮豆を使ってトマトシチューだ。最近の中では傑作。料理は指揮に通ずるところが大いにある。食材選びはともかく、下拵え、火加減、味加減、全てのタイミング、装うところまで2度と同じものは作れないだけに難しく、また尊い。いずれにしても料理の方は人様にお出しできるレベルぢゃない。一人で悦に入ることとしよう。今日も食に感謝。あぁ旨い。(Hamlet Gardens)

プラハ演奏旅行でご一緒した方々へお尋ねします。

昨年11月、スメタナホールでご一緒した合唱の皆さん、お変わりありませんでしょうか。さて、ひとつお願いがあるのですが、演奏会の当日、スメタナホールでのリハーサルで、合唱席からぱちぱち、指揮台にいる小生の写真を撮っていらした方、これはなかなか良い出来と思われるショット、またはこれを人様に見せるのは法に触れる可能性があるようなショットなど、是非ひとりロンドンで彷徨う船橋宛、送り頂ければ幸いです。このサイトのメールへデータを添付なさってください。後日このサイトに掲載させていただきます。どうぞよろしくお願いします。

またいつの日かご一緒できます日を願っています。ロンドンや、アントワープ=ベルギーでの公演などいかがでしょう。

2009・1・23                             Yosuke Funabashi

時差は9時間

ここロンドンは丁度真夜中0時になろうとしている。昨夜はハンバーグステーキにご飯代わりにパスタとサラダ。ドレッシングは日本の米酢にこちらのオリーブ油とサラダ油の混合油。塩と胡椒で味を調える。そして今晩は初めて近所の中華のテイクアウェイで済ませる。ロンドン響のコミュニティプログラムに顔を出す。3人の若い指揮者がサー・コリン・ディヴィスのアドヴァイス?を受けながらLSOを振るものだ。手を上げて振らせて貰いに行こうかと思ったが思い留まった。やはりいいオケだ。それぞれのセクションのトップが素晴らしい役割を果たす。昔の教会跡のようなSt.Lukasは300名ほどのキャパシティながらBBCの録音やリハーサルにも使われている。こちらに来て10日経つが今年初めての生の演奏を楽しむ。会場からおよそ1時間で我がフラット。部屋は広くは無いがヨーロッパは天井が高いので心地良い。大家の親仁さんと一杯交わす。イギリス版朝まで生テレビ見たいのの出来損ないを二人で見てそれぞれの部屋に分かれる。今日は雨が降ったが晴れ間も覗く一日。しかし秋に230円くらいのポンドが今日の新聞で120円を切っている。いったいどうしたことか。今週もあと1日と言う感覚かな。皆さん良い週末を。(Hamlet Gardens)

ロンドンのフラット事情

ラ・ボエーム、彼らの住まいは屋根裏部屋だったかな。昨秋と今年に入って先週まで滞在したところは中3階というのか5階というのか互い違いのフロアは合理的に作られている。最後の夜は見事、斜めの屋根で光を取り込むガラス窓はベットの真上。初めての嵐。あえてブラインドを開けると顔面に雨粒が叩き付けられるような錯覚。懐いてくれた子供たちの声や、飛行機やサイレンの轟音、全て営みの音として受け止められる。不動産屋に掛け合って賃貸のフラットをゲット。全く新鮮な環境。パソコンは今のところ不自由ながら活動を開始しよう。日本で言うワンルームマンションは非常に高価なもの。賃貸では多くはベッドルームのみ個室で台所やバスルームをシェアするタイプが主流だ。オーナーは元英国空軍の技師だった面倒見の良過ぎるスリランカ人の親父さん。何といっても湯船にとっぷり浸かれるのがいい。自炊にほっとする。初日は海老とマッシュルームのトマトパスタ。二日目はベジタリアン向け焼きそば。3日目の今日は生ベーコンを使った生姜焼きごはん。良い嫁になれそうだ。あはは。オバマ氏の就任演説を見る。期待をしたい。(Ravenscourt Park)

霧のロンドン

ロンドンに再び戻ってこの間、晴れ間を見たのはおよそ一時のみだったかな。初めてロンドンに滞在したところに厄介になる。朝起きて先ず天井のカーテンを開けると、それは見事な青空、と言いたいところが、霧の街。針葉樹の枝の茶と灰色が混ざって幻想的な景色。という事にしておこう。8時頃に漸く朝が来たような気になる。それでも年末に比べて少し日が長くなったような気もする。気温はマイナスになることはまず無いのだが、しんしんと心身が冷える。ガザ侵攻反対を訴える集団、若者の号叫。片やティーンエイジャーの1割が人生は無意味なものと考える英国の実情、殺伐とした印象を受けないでもない。街は、日本がそれでも如何にきれいかと思う。空いているバスの席に座ろうとしたら何故か食べかけの鮨折が置いてある。急に用を思い出したのか、余程不味かったのか、聞く術も無い。スーパーの前で親子がバナナを頬張る。それはそれで良いのだが、皮をどうぞ踏んでって、と言わんばかりの完璧な位置取りに投げ捨てる。街の至る所に犬の奴が置いてある。大抵、何故そこに、という所に鎮座している。ふと考え事をしながら歩いていたその足の下から茶色の奴が覗いた瞬間、とっさに「ウン」と体を交わした。我ながら反射神経は悪くないと思ったのはその時だ。しばしばウン悪くしっかり奴と仲良くなった靴底の足跡が規則正しい間隔にマーキングされる。どうやら足は長いらしい。絶対に踏むもんか。でも結構好きらしい、この街も。良い週末を。(Clapham)

ロンドンの夕焼け

正月になると決まって風邪を引く。きっと年末年始に仕事があると少しは違うのかも知れない。日系の航空会社は高めだったのでBAを予約した。少し奮発して座席が広めのエコノミーにしたのだが運よく当日ビジネスクラスにアップグレードされていた。数年前のビジネスと比べて格段にグレードアップされている。殆ど180度横になれるというのは精神的にも12時間の長旅の負担をかなり軽減してくれる。何と言っても食事が良い。ワインリストを手に、こんな時に限って風邪薬を飲んでいたりして「この一年、無茶するなよ」と自ら戒める。でも美味しいシャンパンを少々。ヒースローに着き市内へ移動、そして宿泊先までスムーズ。さていつ頃まで滞在してみようかな。今年の初夢は仕事に追い立てられる悪夢。テムズの橋の上をダブルデッカーに乗りながらふと西の空に目をやるとそれはそれは美しい夕焼け。映えるのは空や雲だけでなく、川に橋それに遠く教会の尖塔やモダンなビルと全てを今日だけの絵に埋め尽くす。2階の一番前に陣取り後ろからはアラブの言葉、隣の子供はフランス語、携帯電話の声が飛び交うバスの中、正直言って街も汚いが、結構気に入っているこの国ともう少し仲良くしてみようか。(Claphan Junction)

日本の正月

今年のお正月は時差ボケを助長するものだった。親戚に不幸があったが例年の如く屠蘇を頂き餅や煮しめを食べる。後厄の今年はとにかく穏やかに過ごせればと願う。世界の経済も日本の政治も引き続き混沌とする中、小生の一年も始動。今年は予想以上に年賀状を頂いた。慌てて大きな郵便局に葉書を求めに出掛ける。例年同様年賀状書きに時間を費やす。嬉しいのは「結婚しました」と「生まれました」の報。年末他界された大濱當忠先生のお宅に伺い焼香。師の偉大な足跡を偲ぶ。滝野川少年少女合唱団は記憶の中に存続する。当時のメンバーと会食。今年は初詣も中止。昨年厄除けに出掛けた新潟の某神社から、年末お札が届いてた。それも振り替え用紙付きで。日本の年末年始の時間の流れは忙しないながらも何故か心地良い。ジャパンアーツの公演に顔を出す。自ら尻を叩いて次の計画を実行に移す。フライトの確保は3日前。海外保険の加入に出掛ける。円高による燃料チャージ差益によって旅行の需要が増えているリポート、NHKの朝のニュースの取材を受ける。2週間の里帰りはあっという間だった。(London)

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。

新年を明るい気持ちで祝いきれない多くの内外の問題が山積する中、少しでも少しずつでも上向きな生き方の出来る心、社会でありたいと願います。

今年は海外での生活をしばらく続けつつ、音楽と自分自身のあり方を見つめながら活動していきたいと思います。
音楽のメッセージが心に染み入るその時、私達の一番ピュアな感覚に立ち戻ることが出来ます。
元気のあるときも無い時も、いつでも傍にいてくれる大切なもの。
演奏会にお出かけ下さい。もちろん私の指揮する演奏会も(笑)。

皆様のお健やかな毎日をお祈りいたします。
どうぞ今年もご声援宜しくお願いいたします。

2009・1・1             船橋洋介

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